シランカップリング剤は、金属・無機表面や材料界面の改質剤として接着性や相溶性を向上させる目的で多種多様な用途に使用されています。また近年、有機-無機複合材料 (ナノハイブリッド) の開発において、有機、無機材料の相溶性の向上や無機材料の凝集を制御し、分散性を向上させるために使用され、複合化に重要な役割を果たしています。このようにシランカップリング剤は、表面エネルギーの異なる材料界面を制御する重要な働きをします。ここでは、シランカップリング剤の種類、機能、作用機構、効果的な使用法、処理効果、表面分析・解析法や応用などシランカップリング剤の基礎から応用について概説します。また、有機‐無機ハイブリッド材料の開発 (材料設計、調製法、構造解析、物性評価など) におけるシランカップリング剤の活用についても分かりやすく解説します。企業で金属・無機材料の表面処理、無機・金属材料と高分子材料の密着・接着性改良や新規な有機‐無機ハイブリッド材料の開発を行っている研究者、技術者に実務に応用できる基礎から応用に至る知識習得に最適です。
- シランカップリング剤の概要
- シランカップリング剤とは
- シランカップリング剤の種類
- シランカップリング剤の機能
- シランカップリング剤の使用量と使用方法
- シランカップリング剤の反応と作用機構
- シランカップリング剤の反応
- ゾル-ゲル法の基礎
- ゾル-ゲル法の特徴
- ゾル-ゲル反応の支配因子
- ゾル-ゲル法の応用分野
- 加水分解機構
- 加水分解反応と縮合反応
- 反応性 (反応速度)
- 加水分解反応と縮合反応に及ぼすpHの影響
- 無機材料への作用機構
- 有機材料への作用機構
- シランカップリング剤の効果的な使い方と処理効果
- シランカップリング剤の選択基準
– どんなシランカップリング剤を選べばよいか?
- シランカップリング剤の処理効果
– シランカップリング剤処理でどんな効果が得られるか?
- 表面キャラクタリゼーション ― シランカップリング剤の反応状態、表面状態の分析法
- シリカの種類と構造
- シリカの表面構造と反応性
- 反応状態、被覆率解析・評価方法
- 表面状態の解析・評価方法
- 構造分析 (FT-IR、NMRなど)
- 熱分析 (DSC,TG-DTAなど)
- 表面分析 (X線光電子分光法 (XPS) 、原子間力顕微鏡 (AFM) )
- シランカップリング剤の応用
- 樹脂、エラストマーの架橋
- 複合材料 (有機-無機ハイブリッド) への応用
- 有機-無機ハイブリッドの材料設計
- 有機-無機ハイブリッド材料の調製法
- 溶液混合法/溶融混練法
- 層間挿入法 (層剥離法)
- ゾルーゲル法
- 超微粒子分散法 (in-situ重合法)
- 表面修飾粒子法 (コアシェル構造型ハイブリッド材料)
- 種々な有機-無機ハイブリッド材料の調製と特性
- 汎用 (熱可塑性) 樹脂 (PMMA、PC、PSなど)
- 耐熱性・熱硬化性樹脂 (PI、エポキシ樹脂など)
- 有機-無機ハイブリッド材料の構造・特性解析
- 構造分析:FT-IR、29SiNMR、XPS、表面積・細孔測定
- 特性分析:熱分析 (TG-TDA、DSC) 、力学測定 (引張試験) 、DMA (動的粘弾性) 、透明性 (VIS-UV) 、表面硬度
- 形態 (モルホロジー) 観察:SEM、TEM、AFM
- 塗料・コーティング剤への応用
- ハードコーティング剤の設計
- ハードコーティング剤の調整法
- ハードコーティング剤の特性評価
- 気体分離膜への応用
- 複合膜による気体透過性の制御
- 気体透過機構 (緻密膜と多孔性膜)
- 透過性の制御 (透過膜とバリア膜)
- 熱伝導性材料への応用
- 高熱伝導性複合材料の設計
- 複合化による高熱伝導化
- 有機-無機ハイブリッド材料の機能化と今後の展望
- 参考文献