第1部 UV硬化型コート材の付着理論と付着性向上手法
(2014年8月8日 10:30〜12:00)
ラドテック・サポート 阿久津 幹夫 氏
UV硬化型コート材は、携帯電話 (スマホも含む) 、デジカメ、化粧品容器、自動車部品、木工製品等、広範な分野で使用されています。
この為、使用されている素材は多種にのぼります。それら各種素材とUV硬化型コート材の付着性向上技術は重要です。
本講座では、付着理論全般の説明とそれのUV 硬化型コート材への応用について述べ、各種基材へのUV硬化型コート材の付着性向上ための方法を解説いたします。
またUV硬化において付着性を低減させている要因に硬化収縮があります。硬化収縮を低減する技術についても、併せて述べます。
- はじめに
- 付着性に関与するUVコート材特有の要因
- 硬化時の硬化収縮について
- 硬化収縮とは、
- 硬化収縮の測定方法:比重法による測定方法、ひずみ法
- 硬化収縮の一般的な傾向
- 硬化収縮を少なくする方法
- UV硬化条件と付着性
- UV照射条件と付着性の関係について
- 膜厚と反応率について
- 照射条件の最適化
- 付着理論について
- 剥離の形態について
- 付着の理論
- ぬれと付着
- 付着理論の概要:
- 拡散説
- 吸着説
- 電気接着説
- 投錨効果説
- W BL層からの剥離
- 各付着の理論をどう考えるか
- 付着理論をベースとした付着性向上方法について
- プラスチック素材への付着について
- 極性の低い高分子素材の場合
- 極性の高い高分子素材の場合
- 無機素材 (金属・ガラス) への付着について
- 吸着説を利用して付着性を向上させる。
- 化学結合を利用して付着性を向上させる。
- 前処理で付着性を向上させる方法について
- 一般的な前処理
- 脱脂
- 研磨ないしブラスト
- 難付着性高分子素材 (P ET ,PP など) の前処理
- フレーム処理
- コロナ放電処理
- プラズマ処理
第2部 密着不良・剥離を軽減するためのUV硬化技術と材料の選択
(2014年8月8日 12:50〜14:50)
大阪府立大学 名誉教授 博士 (工学) 角岡 正弘 氏
UV硬化技術は高速で硬化できるので熱硬化に比べて経済的であり、溶剤を利用しない (あるいは極度に低減できる) ので環境保全の立場からますます重要になってきている。
コーティング、インキ、接着剤、エレクトロニクス部材、自動車関連部材など広い領域で表面加工技術として広く利用されている。
この技術は光源、フォーミュレーション (配合物:オリゴマー、モノマーおよび開始剤など硬化する材料) および応用 (高速プロセス、用途など) の要素技術から成り立っており原理的には簡単で利用しやすい技術である。しかし実用化に当たってはいろいろな課題と出くわす。
特に、基材と塗膜の密着不良・剥離は基本的で解決が不可欠な課題である。
本講ではUV硬化を利用するにあたっての理解しておくべき必須事項 (光源、フォーミュレーション、硬化過程の解説) と実用化に当たって課題となる密着不良・剥離を軽減するための技術と材料選択中心に講義する。
- はじめに
- UV硬化技術とはどのような技術か
- 原理と方法 (光源、配合物 (フォーミュレーション) 応用 (塗料、接着剤、インキ、フォトレジストなど)
- 光源の選択
- 紫外線 (UV) の選択
- 光源:高圧水銀ランプとメタルハライドランプの選択 (クリヤーコートと印刷インキ) 、最近登場したUV-LEDおよびキセノンパルスランプなどの長所と短所:これらの光源を用途によってどう使い分けるか
- 光の波長、強度の理解とUV硬化における活用法、光強度の評価
- UVラジカル硬化
- 光開始・熱硬化反応の特長:硬化速度を上げるための方法
- 開始剤の選択 (硬化速度を決める材料) : 開始剤がなぜ必要か、光源とのマッチングとは何か、短波長硬化と長波長硬化の違いと利用法
- [例:紫外線吸収剤共存下でのUV硬化 (耐侯性硬化物) 、着色物のUV硬化など]
- モノマーおよびオリゴマーの選択 (硬化物の物性を決める材料の選定方法)
- 高分子の基礎物性からみたモノマーおよびオリゴマーの選択法
- [構造とセグメント運動 (硬い硬化物と軟らかい硬化物の設計法) (応用例:クリヤーハードの設計、粘着剤の設計など) ]
- モノマーおよびオリゴマーの構造と選択法の具体例:塗膜の硬さおよび伸び率を調製する具体例
- 硬化収縮とその対策:オリゴマー、デンドリマー、ハイパーブランチポリマーの利用
- 酸素硬化阻害対策法:添加物の利用 (アミン、エーテル、シランなど) チオール・エンUV硬化法
- UVカチオン硬化:酸素共存下でも利用できる硬化法
- UVカチオン硬化の長所と欠点:UVラジカル硬化と比べてどのような利点があるのか。
- 開始剤 (光酸発生剤) からの酸発生機構と重合開始活性について
- モノマー (エポキシ化合物) の構造と硬化性
- 素反応と硬化機構
- 硬化速度の加速法:増感剤の利用、モノマーの選択 (オキセタン、ビニルエーテルの併用など)
- 基材と密着可能な材料の選択法および密着不良対策法
- 塗料の基材への塗布:表面張力 (表面エネルギー) の理解
- 溶解パラメータ
- 基材との密着を改善する方法:基材ポリマーの具体例
- 開環重合を利用する硬化収縮の抑制:ラジカル重合、カチオン重合
- 基材と硬化塗膜の密着を向上させるために考慮すべきこと
- 溶解パラメータから塗料の選択、硬化収縮の小さい材料の選択、塗料の基材に対するぬれを考える、光硬化速度を抑える。
- おわりに:UV硬化技術の今後の展望
- 参考文献
第3部 UV硬化樹脂の硬化収縮率、応力の測定方法について
(2014年8月8日 15:05〜16:35)
(株) センテック 代表取締役 中宗 憲一 氏
近年、光硬化樹脂の進歩と共に多種多様な工業製品に光硬化樹脂が利用展開されており、光硬化樹脂のみならず、熱硬化樹脂、光硬化と熱硬化を組み合わせたハイブリッド製品等多様な機能的接着剤の展開が続いている。
レンズの固定、フレームの固定など、産業分野において使用されていない分野は無いといっても過言ではない。
また近年の樹脂には非常に高いスペックが要求されているのも事実である。そのため微量塗布された樹脂の収縮率、収縮応力、経時での変化を正確に把握する必要がある。
しかしながら、今まで粘弾性測定装置、JISに記載されている水上置換法などで測定する手法しかなく、硬化収縮率、収縮応力を実際に即した形で測定できる装置はなかった。
そこで今回は、微量樹脂の硬化収縮率、収縮応力を正確に測定する、新たな装置、方法について述べる。
- UV硬化樹脂について
- JISによる収縮率測定方法
- 硬化収縮について
- 硬化応力について
- 収縮率測定方法
- 収縮応力測定方法
- 樹脂収縮率、収縮応力測定装置について
- 収縮率測定原理
- 収縮応力測定原理
- 運用方法
- 装置を使った収縮率測定方法
- 装置を使った収縮率測定例
- エポキシ樹脂とアクリル樹脂の収縮率比較
- 低収縮アクリル樹脂
- 導電性樹脂の硬化と電気伝導性
- 装置を使った収縮応力測定方法
- 装置を使った収縮応力測定例
- 各種UV硬化樹脂の硬化収縮応力測定例
- 熱硬化樹脂の硬化収縮応力について