接着接合は、異種材接合、機器の小型化、軽量化、高性能化、高機能化、コストダウンなどに大きな効果が得られるため、近年各種の産業分野で急速に用途が増加している。
一方、用途の増加につれて、市場や接着組立工程での不具合が増加していることも事実である。
接着の作業そのものは特別な熟練技能や高度な設備を必要としないため、簡単な教育や研修だけで接着作業が実施されていることが多く見られる。
いわば、「見よう見まね」で危うい使い方をしているというのが現実といえる。
ところが、信頼性の高い接着を行うにはどのような点に注意して作り込めば良いのか、ということについてはあまり知られていない。
そこで、このセミナーでは、40 年にわたって機器組立に接着剤を活用し、高信頼性接着の技術を構築してきた講師が、接着不良
を出さないために必要な接着の原理から、接着剤の選定、接着部の設計、接着作業、耐久性評価までのポイントを、教科書に書かれていないことも含めてわかりやすく解説する。
- 接着の採用目的とその事例
- 軽量化
- 高精度化
- 高剛性化
- 工程合理化
- 異種材料接合
- 「高信頼性接着」のための基礎知識
- 凝集破壊率の必要条件
- 変動係数の必要条件
- 接着のメカニズム
- 接着の脆弱箇所とその強化法
- 脆弱箇所はどこか
- 表面張力の向上-表面処理、表面改質-
- プライマー処理による接着性改善
- 内部応力とその低減策
- 接着剤の種類と特徴、使用上の注意点
- 接着剤の種類と分類
- エンジニアリング接着剤の種類、特徴と使用上の注意点
- エポキシ系接着剤
- アクリル系接着剤
- ウレタン系接着剤
- シリコーン系接着剤
- 嫌気性接着剤
- 光硬化性接着剤
- 瞬間接着剤 (シアノアクリレート系接着剤)
- 仮固定用接着剤
- 両面テープ
- 接着劣化のメカニズムと耐久性評価のポイント
- 水分劣化における接着部の形状・寸法の影響
- 吸水後の乾燥による接着強度の回復 (乾燥可逆性)
- クリープ耐久性に及ぼす水分の影響
応力と水分の複合
- 疲労試験における注意点
- その他
- 接着剤の選定、設計・施工でのミスの防止策
- 接着剤の硬さ (弾性率) 、伸び
- 粘弾性という性質を考えること
- 接着層の厚さ
- 被着材の強度とせん断接着強度の関係
- 併用接合法とその効果
- 接着剤の塗布パターン
- 加圧力
- 周囲にはみ出し部がない部分での確認方法
- 自動車軽量化のための材料多様化における接着技術の課題
- 航空・宇宙機器や高級車の接着技術は量産車や一般機器の組立にも適用できるか?
- 自動車の材料多様化における接着技術の課題
- 課題解決の基本的考え方
- 検討課題
- 接着剤のバルク特性の作り込み
- 被着材料表面の統一的改質法の開発
- 接合部の強度特性の改善 併用接合法の活用 表層破壊の回避、接着剤への傾斜機能の付与
- 作業性の改善
- 接着評価法の最適化 せん断試験、くさび衝撃試験、信頼性評価法
- その他