本格的な高齢社会を迎えた我が国では、健康寿命を延伸する医療技術の重要性が増している。骨は、運動機能の中枢を担う臓器であり、その損傷は生活の質の低下に直結する。骨の修復のために用いられる材料には、荷重を支えるための機械的特性とともに、生体組織に対する馴染みが求められる。
本セミナーでは、セラミックスの生体親和性について概説し、その機能発現を利用した複合素材の開発動向について述べる。
- 生体用セラミックスの定義と開発の経緯
- バイオマテリアルの必要性
- 自己修復、自家移植、他家移植の課題
- バイオマテリアル分野における用語
- バイオマテリアルの定義
- バイオセラミックス
- 人工骨用素材に求められる性能
- 生体のへ生物学的組織親和性
- 機械的特性
- 製造上、使用上の機能
- 骨に対する挙動による生体用セラミックスの分類
- 生体不活性セラミックス
- 生体活性セラミックス
- 生体吸収性セラミックス
- セラミックスの製造と解析の基礎
- セラミックスの合成と微構造解析
- 多結晶焼結体の微構造とそのキャラクタリゼーション
- ガラスの特性と結晶化ガラス
- 融液からのガラスの調製
- 結晶化ガラスの製造法
- 材料の骨親和性発現の材料化学的解析
- 生体活性セラミックスの生体内挙動
- 生体活性なガラスや結晶化ガラスと骨の結合界面
- 生体内における反応の予測
- 擬似体液を用いた材料の評価
- 生体模倣環境
- 骨類似アパタイト層の形成
- 材料化学に基づいた生体セラミックスの設計
- 骨類似アパタイト層を形成するための反応過程
- 水和ゲル表面のヒドロキシアパタイト形成能
- セラミックスの生体機能を利用する新規な複合素材の開発
- 金属材料の表面改質
- チタン・チタン合金の表面改質
- 高生体親和性有機/無機ハイブリッド
- ガラスの表面反応に立脚した生体活性有機修飾シリケートの開発
- バイオミメティックスに立脚した複合素材の構築
- 体液模倣環境を利用する複合素材の開発
- 生体吸収性セラミックスの利用
- リン酸三カルシウムの生体吸収性制御
- 薬剤の担持による骨形成の促進
- まとめ
- 材料の機能を活かした組織修復材料
- 新しい機能を持つ組織修復材料