コンテンツの制作及び二次利用の場面で、他人が創作したコンテンツ、他人の所有物、他人の実演あるいは肖像などを用いる場合、「許諾を得なければ使えないのか」「権利は本当に存在するのか」が問題となります。
今回の趣向は、法律上「似ているようで異なる権利」にスポットを当て、その共通点と相違点を、具体例を用いて解説することです。「替え歌」は、著作権法上問題があると一般に解説されますが、「同一性保持権」の問題だとされ、「翻案権」との関係で語られることは少ないと思われます。
本講では、「元歌」と「替え歌」の具体例をいくつか引きながら、許諾を「得なければならない替え歌」「得る必要のない替え歌」の相違につき、理論的な解明を行います。
いわゆる「タレント」さんには、「実演家の権利」と「肖像権」の両者がはたらく可能性がありますが、両者の関係いかんについても、論じられることが少ないので、その点についての解明を行うとともに、いわゆる肖像権の裁判で、「ピンク・レディー」は最高裁まで上げて敗れたのに、「嵐」は勝利し多額の損害賠償金を獲得したのはなぜか、それぞれの裁判の解説と、肖像権の働く場合と働かない場合とを、これも具体例を用いて説明します。
ほかに、「絵画」や「建築物」に「所有権」をもつ人と「著作権」をもつ人との関係、単なる「題号」には著作権が生じないことと、単なる「商品の名称」に「商標権」が生ずることとの関係などもお話しします。
法律の初心者の方にも興味深く聴いていただけるよう務めますし、中上級者の方にも一味違う観点から法律の理解を深めていただき、日々の実践に活かしてもらえるよう工夫を凝らします。
- 「同一性保持権」と「翻案権」との関係
- それぞれの権利の著作権法での位置付け
- それぞれの権利侵害となるケースに関する、最高裁判例の基準
- 「替え歌」に関する、「元歌」と「替え歌」の具体例をいくつか紹介、「替え歌」が権利侵害になるケースとならないケース
- 「実演家の権利」と「肖像権」との関係
- 著作権法上の権利としての「実演家の権利」
- 「肖像権」の法的性質
- 「肖像権」で最高裁判例を引き出した「ピンク・レディー事件」
- その判例の基準を当てはめて判断した「嵐」事件
- 前者で権利が否定され、後者で肯定されたその理由
- 「実演家の権利」と「肖像権」とはダブって認められるか。択一的にしか認められないか
- 著名人の「肖像権」と一般人の「肖像権」との共通点・相違点。肖像権が肯定されるケースと否定されるケースの具体例
- 「所有権」と「著作権」との関係
- 「民法」上の概念と「著作権法」上の概念
- 「著作権」とはいかなる権利か。正確に理解する
- 「絵画の著作物」における「所有権」と「著作権」との関係
- 「建築物」における「所有権」と「著作権」との関係
- 「所有権」を他人に主張できる範囲、その限界
- 題号 (タイトル) の権利
- 「題号」に著作権は生じないことと、同一性保持権では保護されることとの関係
- 商標法で「題号 (商品名) 」が保護されるケースと保護されないケース (いわゆる「商標的使用」)
- 不正競争防止法における「題号」の保護
- 著作権の「譲渡」と「買い取り」と「許諾」との関係
- 他人の著作物を合法的に利用できるという共通点
- それぞれの概念の正確な理解
- 契約当事者間の効力と第三者に対する効力
- 質疑応答/名刺交換
【おまけ】 講師の豊富な実務経験から『裏技』・『小技』・『マル秘話』を惜しみなく披露