現行著作権法が成立された際、著作権法が想定していた「映画の著作物」は、大手映画スタジオ等によって製作・配給される劇場用映画やテレビ映画でした。 しかしながら、「映画の著作物」の適用範囲がテレビ放送番組等を含むものとして拡大解釈された結果、著作権法の適用と現実の取引との間に、解釈論では克服し難い乖離が生じつつあります。 また、映画・テレビの二次使用及び海外取引の増加により、新たな類型の法的紛争が発生し、従来では必ずしも認識していなかった法的論点が生まれつつあります。 本講演では、法規範としての重要性というよりも、現実の取引にかかわる映画&テレビ業界の方々が注意すべきか否かという観点から近時の裁判例を取り上げ、その解説と分析を通じて、日常的に関与されている契約及び取引に潜む実務的課題を確認していきます。