近年精密電子製品・機械製品では低膨張材料の要求が強く、また温めると縮む負の膨張物質の開発も盛んである。柱状・ブロック状・フイルム状・繊維状の材料はもちろん薄膜の熱膨張測定も必要になっている。さらに測定雰囲気も、高湿度雰囲気など実際にその材料が使われる雰囲気中での測定や湿度による膨張の測定も必要である。
今回は多用な材料や条件下での各種の精密熱膨張測定技術や測定上の注意点などを具体的に紹介する。
- 熱膨張の基礎
- 用語説明
- 熱膨張の原理
- 高分子材料の熱膨張係数
- 高分子と金属、セラミックスとの比較
- 高分子の熱膨張の特異性、ガラス転移の影響
- ガラス転移の測定
- 結晶軸や材料の配向の影響
- 高分子系低熱膨張材料
- 負の熱膨張材料―加熱すると収縮する物質―
- 負の熱膨張物質にはどんなものがあるか
- 負の熱膨張材料の利用
- 代表的な熱膨張測定法と測定上の留意点
- 押棒式熱膨張計
- 熱機械試験機TMAと測定モード
- レーザ熱膨張計とフイルムの測定
- X線回折を用いた熱膨脹測定の原理
- X線回折による薄膜測定法と測定例
- X線回折法の長所、短所、留意点
- 湿度膨張
- 湿度による膨張の測定法
- 湿度膨張はどの程度の大きさになるか
- 固体高分子型燃料電池用電解質での温度と湿度による測定例
- JISに規定されている高分子関連材料の熱膨張測定・ガラス転移測定
- 参考文献