本セミナーでは、理論上変換効率が60%超とされる量子ドット太陽電池の開発動向と課題、対応策について詳解いたします。
東京大学 先端科学技術研究センター (RCAST) 准教授 岡田 至崇 氏
近年、従来の単接合太陽電池のエネルギー変換効率を上回り、かつ低コスト化が展望できる次世代型高効率太陽電池の研究開発が活発化している。半導体量子ドットや超格子などを導入して理論効率50%以上の高効率化を目指す、従来にない新型の量子ナノ構造太陽電池を紹介し、研究開発最前線に触れる。
東北大学 流体科学研究所 教授 寒川 誠二 氏
量子ドット太陽電池の実用化に向けて必要とされる高密度で全体配列化した3次元量子ドット超格子 (量子ドット結晶) を実現するための作製プロセス技術を紹介するとともに、中間バンド型太陽電池の研究開発動向と課題、展望について述べる。
電気通信大学 大学院情報理工学研究科 先進理工学専攻 教授 豊田 太郎 氏
現在、超高効率太陽電池の実現に向けて、量子ドット太陽電池の研究開発が精力的に進められている。高効率量子ドット太陽電池を実現するためには高精度な量子ドット構造や配置の制御を必要とする量子ドット超格子構造の実現が必要不可欠であるが、未だそれを実現できる量子ドット形成プロセスはない。 講師らはバイオテンプレート技術と無損傷・中性粒子ビーム加工プロセスを組み合わせて量子ナノ構造を形成する手法を2004年に提案し、量子ドット超格子構造の実現と量子ドット太陽電池への応用を研究してきた。 本講演では、バイオテンプレート極限加工による量子ナノ構造の作製と量子ドット太陽電池への展開の可能性について述べる。
現在、太陽電池はシリコンを主材料とするものが主流である。しかしシリコン太陽電池は、製造コストや製造プロセスの問題が大きく立ちはだかり、今後の発展の足かせとなっている。そのため種々の太陽電池が考案されているが、それらの中で色素増感太陽電池は簡単な製造プロセスにもかかわらず、比較的高い光電変換効率を示すため大きな関心が寄せられている。しかし、現在、その効率は頭打ちで、ブレイクスルーが求められている。色素ではなく、半導体量子ドットを増感剤として適用すると、理論変換効率は44%となることが示され、アメリカを中心に大きな関心と活発な研究が開始されている。 本講座では、主として半導体量子ドットの物性物理学的側面からの研究結果を示し、光電変換特性向上化への可能性について言及する。