実験機では出来たけど、実機で同じ品質が出ない。これまでの多くの技術者が抱える問題点です。
スケールアップは、スケール比で押出量などが得られる技術ですが、こと分散品質に関しては、同じ品質レベルを実現することが目的となります。これを品質のスケールアップと呼んでいます。
従来、スケールの異なるせん断分散機では、同一品質にならないことが、既に理論的に実証されています。しかし、何とかしたいという法則 (これを緩和則と呼んでいる) を作り出して、当たらずとも遠からず程度の同一レベル品質を達成する技術が解明されてきました。講演者は、長らくこの技術開発に取り組んできましたが、実践した有力な緩和則の詳細を説明します。
さらに、講演者は、ここ20年ほどスケールアップの必要のない分散技術の開発に取り組んでいます。従来のせん断分散の技術を超える新しい分散技術のことですが、近い将来、われわれはせん断応用技術からの脱却が必要であろうと感じているからです。
このあたりの詳細技術も合わせて説明します。聞いていただく方々の近未来の技術展開に大きな参考になるものと考えています。
- 無機フィラーコンパウンドの特性
- 無機フィラーのみを樹脂中に分散する場合の物性変化
- 分散とは凝集破壊が主目的で、一次粒子の破壊ではない
- 凝集粒子の被破砕特性
- TPRのみを樹脂中に分散する場合の物性変化
- 曲げ剛性と衝撃強度を同時に向上させる混練
- 3元樹脂 (Polymer, Elastomer, 無機Filler) による実現
- 一括混練法とエラストマー混練法の違い
- タンデム混練方法と混練エレメントを工夫した2軸押出機混練方法
- 無機フィラーの粒子径を小さくする場合の特性
- Sub-micron分散、Nano分散の実用化:3元樹脂に代わる新技術
- 無機フィラーのみの混練で、曲げ剛性と衝撃強度が同時に向上する
(これが目的とするNano分散である)
- なぜナノ分散によって曲げ剛性と衝撃強度が同時に向上するのか
- Bound Polymer, Rubber発生のメカニズムと補強特性
- EPR添加の場合の強度発生のメカニズムと補強特性
- Sub-micron分散でも強度向上効果の得られる領域が存在する。
- 軸押出機と連続混練機
- 2軸押出機と連続混練機のせん断特性
- 2軸押出機に傾注する現在の混練分野の盲点
- せん断機種の補われるべき技術特性
- せん断流動分散では、なぜ品質相似が出来ないのか
- スケールアップ
- 挙動の相似と品質の相似
- 高分子分散で分散品質に係わる相似則が応用できない理由
- 緩和則の理解と応用
- 有効混練時間の考え方
- 分散パラメータとこれを緩和則へする応用技術
- 従来の分散パラメータと新しい分散パラメータ
- 解析要因のα1、α2の解析の実際
- カーボンブラック分散での応用例
- FWI (品質) を例にした緩和則応用の実際
- α1、α2解析法を用いた2軸押出機の操作特性
- せん断品質平面の表示と品質等価曲線
- 各種材料に対する品質等価曲線の特性
- その法則から外れる材料特性 (たとえばCB)
- せん断流動分散の不均一性を補う緩和則の実際
- 混練の有効時間に寄与する要因
- T関数の解析と応用
- 真空混練技術
- 黄金分割理論
- 伸長流動分散では、ほぼ均一分散ができる
- Utracki理論と橋爪理論の違いと実証実験
- Capillary numberの応用
- せん断流動分散と伸長流動分散の適応領域
- 均一分散の実際
- Nylon中へのHDPE分散への応用
- 2種エラストマー分散への応用
- 分散における不均一性内在技術と、ほぼ内在しない技術
- 内在技術の代表:せん断分散技術
- ほぼ内在しない技術
- コンパウンド系:スラリー分散技術、プルトルージョン技術
- ポリマーブレンド系:伸長流動分散技術
- ナノ分散技術の応用
- 無期ナノ分散が得られる4方法とその評価
- In situ法
- 層間挿入法
- 高せん断法 (産業技術総合研究所)
- スラリー分散技術 (橋爪)
- 均一分散か否か
- 完全均一分散技術の例:長繊維ペレット成形技術の実際
- 全く新しい分散概念
- PPGの物性、 曲げ剛性と衝撃強度を同時達成
- アスペクト比の大きい繊維を残すFRTP応用技術
- 自動車部品への応用
- 世界1000億円市場への展開の実際
- 質疑応答