医学的診断は、患者の訴え、医師による診療所見、そして臨床検査データの三つの情報の総合的な判断による。そのなかでもっとも客観的情報を提供するのが臨床検査である。しかし高い客観性をうるには、精密さ、正確さなどの基本的性能が適切なものでなければならない。はたしてその基本的な性能評価とは何なのか、評価する基準とは何なのかを学ぶことにより、役立つ検査情報の提供が可能となる。これらの精度マネジメントを生かす運営管理に活かすことができる。
本講義では、基本的な性能評価の考え方を理解し、臨床への有用な情報提供に応用できる力の習得を目的とする。
- 体外診断薬に要求される性能試験とは
- 分析化学と比較し要求される精度について考えます
- 定量値と定性値など表現の違う評価についてどうすればよいのか
- 性能試験のバックボーンである統計的背景を理解しよう
- 間違った相関・回帰分析をしていないか
- 有意差検定の原理を理解し、適切な検定方法の選択しているか
- 信頼区間の持つ意味について
- よく使われる分散分析法とは
- 絶対的な評価と相対的な評価とその許容誤差について
- 基本的性能試験の評価
- 再現性試験の種類とその持つ意味について
- 最小検出限界試験はどのように実施するのか
- 直線性試験の判断はどのように行うのか
- 干渉物質の影響試験はどのように行うのか
- 精密さと正確さの評価の仕方
- 精密さの評価 2種類の方法の意義は
- 管理試料を用いた評価法とその目的
- 患者検体を用いた評価法とその目的
- 正確さの評価 3種類の方法の意義は
- 1種類の標準物質を用いた場合の正確さの評価方法を学ぶ
- 3種類以上の標準物質を用いた場合の正確さの評価方法を学ぶ
- 患者検体による一致性の確認方法
- 臨床的有用性の評価
- 基準範囲の設定しその検証方法と注意点を知る
- 判断値の設定方法と注意点
- クロス表からの感度と特異度を理解、適中率、尤度、オッズを考える
- ROC分析の有効な活用方法と注意点について
- 性能試験の日常検査への活かし方
- 日常分析に利用する性能試験の結果
- 有効な診療支援情報の提供方法を考察する