第1部 低温熱水発電の動向、期待される市場および今後の課題 (10:30~11:50)
講師
弘前大学 北日本新エネルギーセンター
教授 村岡 洋文 氏
我が国はいま、製造業のアジア移転という大局的潮流の中で、産業構造の転換に苦悩している。その中で、将来性の確かな数少ない分野が、アジアをリードし、アジアを市場とするグリーンエネルギービジネスであろう。
本セミナーでは100度以下の低温未利用熱発電の詳細について、租界の第一人者が順次紹介されることとなっている。そこで、その皮切りとして、低温熱水発電の大局的な技術動向と、市場の広がり、そして、克服すべき課題について概観する。とりわけ、環境省にも大きく取り上げられ、温泉大国日本における独自の市場機会となっている、温泉発電ビジネスモデルについて詳述する。
- 低温熱水発電概観
- 最低発電温度低下の歴史
- バイナリーサイクル発電とは
- ランキンサイクル発電とは
- カリーナサイクル発電とは
- 熱発電素子とは
- 低温熱水発電市場
- 産業排熱発電
- 温泉発電ビジネスモデル
- アジア市場における意義
- 事例紹介
- 産業排熱発電
- 温泉発電
- 低温熱水発電の課題
- 法制度的障壁
- 熱効率的課題
- コスト的課題
- まとめ
第2部 バイナリー発電システムの高性能化と特性解析 (12:30~13:50)
講師
早稲田大学 基幹理工学部
教授 河合 素直 氏
地球温暖化ガス25%削減という大きな課題に直面し、低温排熱あるいは自然の熱エネル ギーの有効利用という鶴点から、バイナリー発電システムが大きな注目を浴びている。バイナリー充電システムは、利用可能な熱源が多様であるために、熱源またその量に対応したシステムの構築を検討することが不可欠であることから、システムの構成要素と性能の 関係を十分考慮して計画を進めることが必要となる (作動媒体も重要な要素である) 。
本講演では、システムの構成要素の特性について解説し、その上で熱源の有効利用の可静性とシステムの高性能化について述べることにしたい。
- バイナリー発電システムを構成する要素について
- 理論的にどの程度の熱エネルギーの利用が可能か
- システムを構成する熱交換器の特性とシステムの性能に及ぼす影響
- 構成要素の特性にもとづくシステムの特性の推定
- システムの性能を支配する要素についての検討
- 最大出力を得るためのシステムの運転に関する考療
- バイナリー発電システムの高性能化と今後の普及の可能性について
第3部 アンモニア/水を用いた未利用熱回収に向けた発電技術の高効率化 (14:00~15:20)
講師
佐賀大学 海洋エネルギー研究センター
准教授 池上 康之 氏
- アンモニア/水を作動流体として用いた低熱源温度差発電 (LTEC) の現状
- LTEC (Low-grade Thermal Energy Conversion) とは
- アンモニア/水を用いた LTECの国内の現状
- 海外の現状
- LTECのサイクル論と評価
- LTECのサイクル論
- LTECの種々のサイクル
- LTECの最適化 と評価
- サイクル計算方法の概要
- アンモニア/水を用いた実験
- 佐賀大学の30kW海洋温度差発電装置
- 実験結果と考察
- 課題と今後の展望
- アンモニア/水を用いたLTECの構成機器の現状と展望
- タービン
- 熱交換器
- その他
第4部 外燃式ロータリエンジンを採用したランキンサイクルと廃熱回収の高効率化 (15:30~16:50)
講師
(株)ダ・ビンチ
代表取締役 東 謙治 氏
従来より、温度の低い廃棄熱は、冬季の暖房や浴用として廃熱利用してきたが、大量の低温廃棄熱が溢れる現代社会において、より使いやすいエネルギーへの変換が重要課題となりつつある。しかし、エネルギーの変換には常に損失が付きまとう。特に低温の熱エネルギーの変換はより大きな損失を伴う。さらに、熱エネルギーは温熱源と冷熱源の温度差に依存したエネルギーしか取り出せない。よって、極めて低温エネルギーの変換は困難な課題と言えるだろう。
本セミナーでは熱エネルギーを高効率に電気エネルギーに変換する考え方について解説する。
- カルノー・サイクルとランキン・サイクルについて
- ランキン・サイクルの構成要件
- ヒート・マス・バランス
- システムの課題
- 衝動型エンジンと容積型エンジン
- ロータリー熱エンジン概要
- 外燃機関としてのバンケル型ロータリーエンジン
- 内燃機関との比較
- 作動流体の圧力と仕事 (理論値)
- 作動流体と損失
- 理想的な作動流体の条件
- エンジン回転数と作動流体リーク率
- 熱仕事効率
- ロータリー熱エンジンの熱仕事効率
- 異なる沸点の作動流体の組合せによる高効率化
- ロータリー熱エンジンの今後とシステムの拡張性
- 効率的な熱移送手段の確立
- システムの自立化 (熱電変換素子による自己消費電力の供給)
- 自然エネルギーの利用と追炊き機構