品質リスクマネジメントは、品質に携わる人々にとって自らの問題であり、会社の基礎を支える重要な仕事でもあります。日本製品=品質が良いと言う時代でしたが、昨今は品質問題が事件・事故となり、大きな会社でも品質のために膨大なコストが発生したり、倒産あるいは規模縮小、事業売却に至っているケースもあります。
医薬品会社の品質管理/品質保証に30年携わって来た経験、知識から、医薬品製造における品質リスクマネジメントについて、具体的な事例を紹介しながら一緒に考えます。一方的な説明だけでなく、参加者の方からご質問や困っていることなどを伺い、それについてもできるかぎり、講師の体験から紹介します。
- 品質リスク
- ICHシリーズ
- CH9,10,11の中の9
- ICH9
- 科学的に基づいて品質リスクを評価する
- 患者様の安全を前提に品質課題を判断する
- 医薬品製造における具体的な品質リスク
- 健康被害を起こす。
- 製品回収を起こす (製品苦情が増える) 。
- 欠品を起こす。
- GMP適合性調査で期日までに適合せず承認が下りないまたは承認が遅れる。
- 製造コストを高める。
- 会社の信頼を損ねる。
- 品質保証の仕組み
- 製造所 (GMP)
- 文書システム
- 責任者体制
- 人 (教育、訓練)
- モニター機能
- 是正/予防の仕組み
- 製造販売業 (GQP)
- 文書システム
- 原薬/製剤委託品管理
- 変更管理 (一変申請/軽微変更届)
- 法定表示確認システム
- 製剤設計/導入品の評価
- 製剤設計/導入品への関与
- 安定性試験結果の評価 (特に製品回収の多い設計品質)
- 溶出試験
- 注射剤の不溶性異物/不溶性微粒子試験
- 申請前
- 申請資料への関与
- GMP監査
- 安定供給の確認
- 申請後
- 文書整備
- 安定製造/品質確認
- 品質リスクの項目/具体例の紹介
- 品質のよくないものが出荷される/製品苦情として来る。
- 逸脱/OOSの対応が適切でない。
- 年次安定性試験で規格に適合しない。
- 製品苦情で回収対象となる苦情が来る。
- 法定表示違反
- レギュレーションに適合していない。
- 製造販売承認書の記載事項から逸脱する。
- 変更管理が適切でなく、製造販売承認書に反映されない。
- 原薬/委託先管理が適切でなく、製造販売承認書に反映されない。
- 査察 (GMP適合性調査含む) に適合しない。
- 新製品申請時のGMP適合性調査に期日まで適合しないため、新製品の承認が遅れる。
- 定期あるいは一変時のGMP適合性調査で問題点が見つかり製造に影響する。
- 外部の査察での不備が、自社にも影響する。
- 品質問題が発生した時の具体的な対応
- 外部からの品質問題の指摘
- 製品苦情 (クレーマーへの対応含む)
- 収去
- 査察
- 他社製造所での品質問題の影響
- MFのクローズド・パートの不備の影響
- 内部からの品質問題の発見
- 逸脱 (他のロット/製品への広がり)
- 製造販売承認書の齟齬
- 教育/訓練
- GMPの順守
- ミスと違反の違い
- ミスの原因分類
- 上乗せ基準
- 製造で品質を造り込む
- 製造ラインの設計思想
- 人の能力/意欲を品質保証に生かす
- 割れ窓理論
- ハインリッヒの法則
- 品質KYT
- 人の感性が品質を救う
- 感性を養うためには
- 最後に – 人が創る品質 -
- 女性社員の感性が工場を救った事例
- 一人ひとりが品質保証の大切な役割を担う
- 品質を高めるには人の質を高める