第1部 電極スラリーの分散調整と分散状態評価の勘どころ
(2014年3月20日 10:30〜11:40)
リチウムイオン電池の性能を決定づけるのは、電極スラリー中の粒子の分散制御であり、そのためには、スラリー中の粒子分散・凝集状態を的確に評価できる技術を身につけることが必要である。リチウムイオン電池電極スラリーのような高粒子濃度スラリーにおいては、希薄スラリーとは異なる粒子分散・凝集状態評価技術が重要となる。
本講座では特に高粒子濃度スラリーにおける粒子分散・凝集状態の評価技術について、その測定原理をわかりやすく解説し、評価結果の一例として実プロセスで使用されているスラリーを評価した例を紹介する。
- スラリー評価の考え方 高粒子濃度スラリーでの留意点
- 重力・遠心沈降による評価
- 沈降静水圧測定による評価
- 流動曲線 (レオロジー測定) による評価
- その他の評価法
- 浸透圧測定によるナノ粒子分散・凝集状態評価
- 粒子分散・凝集状態の直接観察
- スラリー評価の応用例 (リチウムイオン電池正極スラリー)
- ナノ粒子のゲル形成がスラリー特性及び電極微構造に及ぼす影響 -
- まとめ
第2部 第2部 リチウムイオン電池の材料選択 ~ 塗布・乾燥プロセスにおける勘どころ
(2014年3月20日 12:30〜13:40)
リチウムイオン二次電池の基本的な動作を理解しており、研究開発のための材料選択や設計、あるいは現場で製造プロセスの設計などのためのより深い理解を求めている方々に、リチウムイオン電池に使われる材料の特性について学術的な面から掘り下げ、材料選択、スラリー設計、調整プロセスや塗布・乾燥の条件が電気化学的に電池の出力特性やサイクル寿命にどのように影響するのか議論することを目的とする。
- リチウムイオン二次電池の構造と使われる材料
- 活物質の固体表面の極性
- 炭素材料の表面官能基の極性
- バインダー、増粘剤、分散剤と溶媒・分散媒の極性
- 集電体の表面の不働態皮膜と合材密着性
- 材料選択・分散・乾燥と電池の出力特性
- 紛体混合による活物質表面の劣化
- 合材スラリーの分散安定性とインピーダンス
- 乾燥過程における導電ネットワークの形成
- 活物質の種類によるアンダーコートの効果の違い
- 塗布・乾燥が及ぼす電池のサイクル劣化への影響
- 炭素材料がかかわる電解液の電気分解
- 塗布ムラと電流集中による電解液の電気分解
- バインダーの極性と電解液の電気分解
- 分散剤残留と電解液の電気分解
第3部 リチウムイオン電池 (セル) における電極加工とセル組立の勘どころ
(2014年3月20日 13:50〜15:00)
本セミナーは第1部の電極スラリーの調製から始まって、第四部のセルの評価まで、リチウムイオン電池 (セル) の製造プロセス全体をカバーしている。
第3部においては、塗工・乾燥で出来上がった電極板をチェックして二次加工を経て、最終的なセルに仕立て行く部分である。比較的に容量の大きなセルの例で説明するが、セルの組立不良は発火・破裂などの事故に直結するので、セルの構造やセパレータなどの部材とのノウハウを総括した技術のアップが求められる。実務経験がないと理解出来難い部分もあるが、出来るだけモデル化して説明したい。
- リチウムイオン電池 (セル) の現状と基本特性
- 性能、寿命、安全性
- 事故件数と規制・対策
- エネルギー特性 Wh
- パワー特性 W
- 電極面積 cm2/正負極
- 有機電解液 イオン伝導 可燃性
- 正負極の目付量 mg/cm2
- 電極密度 g/ml 充填率
- セル (単電池) の構造と要点
- 捲回型 (円筒、扁平) 積層型
- 外装材;円筒と角函体、ソフト包材 (アルミラミネート)
- 電極の収束と端子の取り方 (軸端子、タブ端子)
- セルの放熱性と大電流耐性
- 電極板の不良排除と二次加工
- 塗工不良の例と発見方法
- ロールプレスの条件と効果
- 切断 (スリッテング) とL型カット
- 電極板の表面状態
- 電極板と電極体の組立
- 正極板/セパレータ/負極板の位置
- 内部短絡の回避方法
- ゲル状電解液 (スマホ用電池)
- 電極板の収束 (超音波)
- セルの封止構造
- ラミネート型セルのタブ封止
- シーラントによるタブとラミネート包材の接着
- セルのガス膨張とラミネート包材の耐久性
- 電解液の注入と初充電
- セパレーターの特性
- 電解液注入の要点
- 初充電と検査項目
- 参考 リチウムイオン電池 (セル) 製造の全工程
第4部 リチウムイオン電池における部材・セル評価の勘どころ
(2014年3月20日 15:10〜16:20)
リチウムイオン二次電池は、主に大きく分けて正極、負極、セパレータ、電解液、電池缶の5つの部材から構成されている。リチウムイオン二次電池は、高出力、高容量、高い安全性が求められており、電池セルの性能向上、安全性向上のため部材の開発が行われている。
ここでは、これら部材毎、またその部材の構成成分毎の一般的な分析評価方法について紹介する。また、セル評価としては、電池内部を非破壊で観察するX線CTや、簡単な劣化解析および安全性評価について紹介する。
- 電池の構造
- 電極の分析
- 元素分析
- 化合物の同定
- 化合物の分布
- 活物質の圧縮試験
- 表面の状態
- 水分率の測定
- 活物質と集電箔の密着性
- 熱安定性の測定
- セパレータの分析
- 定性分析
- 機械的特性
- 細孔の分析
- 電解液の分析
- 電解質の定量
- 電解質の分解物の分析
- 電解液成分の定性
- 発生ガスの分析
- 電解液の分析
- 電池内部の非破壊観察