スラリーの塗布・乾燥プロセスを適切に制御するためには,スラリー中で粒子がどのような集合状態 (分散・凝集状態) をとっているか,適切な評価法に基づいて評価することが重要である.
本講演では,粒子分散・凝集状態の評価手法について,代表的なものをいくつかとりあげ,その評価原理と測定例を紹介する.また,粒子分散・凝集状態を決定する因子について,その基礎理論を解説する.さらに粒子分散・凝集状態と塗布・乾燥後の成形体の微構造との相関について検討した実例を紹介する.
- イントロダクション
- 粒子の分散・凝集を支配する要因
- DLVO理論
- 非DLVO力
- スラリー評価の必要性
- 粒子の分散・凝集評価方法
- 重力沈降・遠心沈降法
- 沈降静水圧法
- 浸透圧測定法 ーナノ粒子スラリーの評価法ー
- 直接観察法
- 流動性評価と分散・凝集
- 流動曲線
- 粒子分散・凝集状態との相関
- 流動性から分散・凝集状態を予測する上での注意点
- 粒子集合状態の調整方法
- スラリーのpH,イオン濃度による調整
- 高分子電解質による調整
- 高分子電解質の吸着量測定法
- 高分子電解質の吸脱着挙動
- 高分子電解質の添加量と粒子集合状態の関係
- スラリー評価結果と塗布・乾燥後の成形体微構造の相関
- セラミックグリーンシートの亀裂とスラリー特性の相関
- 多成分スラリーの評価
~リチウムイオン電池正極内の偏積とスラリー特性の相関~
- スラリー評価のその他のプロセスへの応用例
- 沈降法のスプレードライへの応用 ーセラミックスプレス成形の最適化ー
- スラリー特性に及ぼす微量添加物の影響
- スラリー特性の経時変化
- まとめ