臨床治験の現場では、身体の自覚症状、他覚的所見および検査データなどを総合的に利用して、薬剤の本来効果と有害反応発生の評価を行っている。薬効に関しては、それぞれの薬物の目的とする所見を判断材料とするので、観察対象は明確である。
しかし、有害反応は、本来の薬物により期待されるものとは関連のない9肝・胆道系障害、腎障害、溶血性副作用、造血障害として出現する。
本研修では、臨床検査データを提示し症例検討会を行う。
始めに典型的な臓器障害症例を解析することで、検査値異常が生じるメカニズムを理解する。その上で薬剤による有害事象を引き起こした症例を提示し、検査値変動と有害事象との関連性を考える上でのポイントを習得する。
- 症例提示、検討会。
- 肝障害症例
- 胆道閉塞性障害
- 胆汁中に排泄することができない成分が血液中で増加する。
- 腎機能障害
- 腎不全では、尿中排泄できない成分が血液中で増加する。酸塩基平衡、電解質異常の判定法。
- 貧血症例
ヘモグロビンの分解と代謝は溶血なのか、骨髄抑制なのか
- 検査値異常から障害を鑑別する
- 高ビリルビン (黄疸) を見たとき
- ビリルビン産生の過剰
- 肝での処理異常
- 胆汁中への排泄障害
- ヘモグロビン濃度が低下したとき
- 出血
- 溶血: 溶血性副作用の起こる機序
- 骨髄抑制
- 鉄利用障害
- 血小板数が低下したとき
- 偽血小板減少
- 骨髄抑制
- BUN中等度高値となった際
- 低アルブミン血症 (それ以外の理由による浮腫を含む) を見たとき
- 心臓性
- 腎臓性
- 肝臓性
- 内分泌性
- 栄養障害性
- 薬剤性