これまでに開発された微粒子合成法は多岐にわたっており、使用する溶媒の種類や、生成粒子の分散安定化のために用いる添加剤の種類も多様である。しかし、工学的応用のための大きな流れのひとつは、環境負荷の低い合成法の開発であり、近年このような系での様々な粒子合成法が報告されている。
本講習会では、水やエタノールのような低環境負荷溶媒を使用し、界面活性剤や高分子安定剤の使用をできるだけ軽減したクリーンな系での粒子合成を中心に、粒子性能の均一化に不可欠な粒径分布の制御法や無機有機複合化、中空、多孔質、非球形の構造・形状の多様化の手法に焦点を当てた説明を行う。
- コア・シェル粒子で実現できる機能
- 有機物質と無機物質はどのような性質を持っているか
- バルクの性質 (物性値)
溶解性、耐熱性、誘電率、屈折率、磁性、導電性、触媒特性、加工性、柔軟性など
- ナノサイズ効果 ? 粒径による特性がどう変化するか?-
溶解度、光吸収・発光特性、誘電分極、磁化特性、光散乱特性、触媒特性など
- 複合化粒子に期待できる特性
中実複合粒子の特性,中空や多孔性構造の特性
- コア・シェル粒子の形態の分類と構造形成の支配因子
- 単核コア・シェル粒子
同心、偏芯、雪ダルマ (ダンベル) 構造と拡張係数
- 多核コア・シェル粒子
非平衡構造と相分離状態の凍結
- 多孔質・中空構造粒子
- コア・シェル粒子の作製法
- 粒子の合成や粒子構造制御に用いられている方法
- 化学反応を利用する手法
- 有機ポリマーの形成法
(乳化重合、分散重合、ソープフリー乳化重合)
- 無機成分の形成法
(共沈法、均一沈殿法、アルコキシド法 (ゾル・ゲル法) 、
水熱合成法、金属イオン還元法、熱分解還元法、逆ミセル法)
- 物理的な手法 – ヘテロ凝集法 -
- 低環境負荷の代表的合成法
粒径均一性に優れ、広い粒径範囲の制御が可能
反応器の形状、操作上の注意点、撹拌条件など
- アルコキシド法と無機成分形成機構
- ソープフリー乳化重合法とポリマー形成機構
- 作製・応用例
- 球形粒子の作製
- 他成分吸収によるハイブリッド化
- 単核コア・シェル粒子の作製
(ポリマーコーティグ、シェル厚制御、シェル形状形態の変化、ポリマーコーティングの問題点、シリカコーティング、 磁性Coナノ粒子内包シリカ粒子、表面プラズモン金ナノ粒子内包シリカ粒子、多層コア・シェル、蛍光・磁性複合粒子)
- 多核コア・シェル粒子の作製
(磁性ナノ粒子含有単分散ポリマーナノ粒子、貴金属ナノ粒子担持感温性ゲル複合粒子、貴金属ナノ粒子担持多孔質TiO2複合粒子と光触媒特性、メタノール燃料電池触媒と耐久性向上)
- 非球形複合粒子の作製
- ポリマー/ポリマー非球形複合粒子の作製と非球形度の制御因子
- 無機/ポリマー/ポリマー複合粒子の作製と電場応答機能の付与
- ロッド型複合粒子の作製と電場・磁場応答機能の付与
- ヘテロ表面を持つ非球形複合粒子の作製
- 単分散油滴を利用する粒子作製
- ゾル・ゲル法による単分散油滴の作製
- 油滴内包型非球形コア・シェル粒子の作製
- 油滴をミニリアクターとしたポリマー粒子合成
(生成ポリマー粒子の形状制御:レンズ、円盤型、半球、ヘルメット型)
- 中空粒子の合成
- 中空化の手法 – コア成分の焼成法と抽出法による除去 -
- 球形中空シェルの作製と非球形
(雪ダルマ,ダンベル型) 中空粒子の作製
- 球形コア・シェル型粒子の作製
(コアへの可動性と磁場応答性の機能化の実例)
- 非球形コア・シェル粒子の作製
- 非球形中空コア・シェル粒子の作製
- おわりに