昨年5月末の遺伝毒性不純物の評価についてのセミナーでは、潜在的な発がんリスクを低減するための欧米の医薬品ガイドラインの考え方について説明した。遺伝毒性不純物と判断されたものを、精製して濃度をどこまで減らせば良いのか、さらに、遺伝毒性不純物の対象は合成行程の副生成物や分解物、合成出発物質も考慮した基本的な対策並びに閾値評価について過去の対応経験をふまえた内容であったが、試験方法に関する課題は残った。
今回は、前回に加えて、ICHガイドラインに従った各種遺伝毒性試験の実施方法とそれぞれの遺伝毒性試験の特徴に基づいて相反する成績が得られた場合の検出感度をふまえたリスク評価を説明する。また、化学構造のデータベースによる予測システムを利用も紹介する。
- 本テーマ関連法規・ガイドラインなど
ICH:
S1A 医薬品におけるがん原性試験の必要性に関するガイダンス
S1B 医薬品のがん原性を検出するための試験に関するガイダンス
S1C (R2) 医薬品のがん原性試験における用量設定について
S2 (R1) 医薬品の遺伝毒性試験及び解釈に関するガイダンスについて
Q3A (R2) 新有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガイドライン
Q3B (R2) 新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドライン
M3 (R2) 臨床試験のための非臨床試験の実施時期
質疑応答集 (Q&A)
M7 潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性 (変異原性) 不純物の評価及び管理 (案)
EMEAガイドライン:Guideline on the limits of genotoxic impurities
FDAガイドライン:Genotoxic and Carcinogenic Impurities in Drugs Substances and Products: Recommended Approach and Acceptable Limit
- はじめに
- 遺伝毒性試験
- 遺伝毒性と検出方法
- ICHガイドラインによる検出方法
- 遺伝毒性の評価
- がん原性と検出方法
- 遺伝毒性とがん原性
- 遺伝毒性試験成績とがん原性の一致率
- 遺伝毒性がん原性
- 非遺伝毒性がん原性
- 不純物に係わるガイドラインとその背景
- ICH不純物に関連するガイドライン
- ICH Q3A,B不純物の構造決定、安全性確認のためのフローチャート
- ICH M7 (遺伝毒性不純物) ガイドライン案の一般原則
- ICH M7ガイドライン案の適用範囲と特徴
- EUとFDAガイドラインの特徴と違い
- 安全性確認の閾値
- 遺伝毒性がん原性物質のリスク評価
- 遺伝毒性を示す最低濃度
- 遺伝毒性閾値とTTC
- 不純物リスク評価のためのフローチャート
- In silicoによる遺伝毒性の予測システム
- 代表的な遺伝毒性の骨格と構造相関
- 質疑応答 (Q&A)