物質には必ず表面層がある。表面は内部物質とつながっているが、外部の雰囲気とはつながっていない。特にガラスにおいては表面に物理的、化学的な処理をすることにより材料全体の特性を変化させることになる。
表面における反応という観点で見た場合、酸化物ガラスを構成するものの中で多価イオンは殆ど移動しないが、アルカリ及びアルカリ土類金属などは条件が整えば移動する。アルカリイオンは動きやすいために、ガラス表面に付着した水分の中のH+と交換して表面に移動し、表面でアルカリ溶液となってガラスを浸食するということがある。
また逆にこのイオン交換を利用してガラス表面の性質を変え、様々な用途に使用する試みがなされている。その代表的なものが化学強化であるが、その他にも様々な用途開発が進んでいる。これらの内容を解説する。
- はじめに
- イオン交換可能なガラスと製造方法
- 少量生産に対応する製造方法…ブロック成型
- 少量生産に対応する製造方法…機械吹き法
- フルコール法
- フロート法
- フュージョン法
- ダウンドロー法
- 化学強化ガラス
- ガラスの強化法と特徴
- 化学強化用ガラスと用途
- 化学強化を前提として生まれた商品群
- タッチパネル用途での化学強化の展開
- 化学強化品の評価方法と評価例
- 化学強化処理品の後加工について
- 切断加工…ウオータージェット、レーザー
- 従来の工程を変えるエッチング加工
- 耐フッ酸タイプレジストの開発
- フッ酸処理表面の状態
- 端部の強化未処理部について
- 化学強化処理の限界と今後の方向性
- イオン交換による抗菌処理
- 化学強化と並行して行なうことが出来る抗菌処理
- 銀イオンとのイオン交換を行なう際の留意点
- 光導波路用基板ガラス
- 光回路、光導波路の概要
- PLC研究の背景
- PLC開発経緯とイオン交換用ガラス
- 光導波路用ガラス基板の拡販活動
- イオン交換タイプの光導波路基板ガラスに求められる基本特性…ガラス設計
- イオン交換タイプの光導波路基板ガラスに求められる基本特性…実績例
- 光プリッター、光トランシーバーの市場動向
- ポリマー導波路の可能性
- Light Peakの光伝送とキーになる材料
- PLCの方向性
- 多成分系集束性光ファイバー
- 平板マイクロレンズ
- 大型平板レンチキュラーレンズへの可能性
- ステイン印刷
- ステイン印刷の実績
- ステイン印刷による新規開発商品
- 伝導性ガラスへの取り組み
- ガラス組成とイオン交換、還元処理後の表面抵抗
- ガラス表面を処理した時の形態的観察
- 陽極接合基板ガラスのイオン交換による低温処理化への取り組み
- 陽極接合に適した基板ガラス
- 一般の硬質ガラスのナトリウムに対するチタンとのイオン交換
- まとめ