本セミナーでは、合成高分子の会合体・集合体のモルフォロジー、サイズ、サイズ分布、およびそれらの実験的な決定法、形成機構を解説いたします。
生体は、非常に精緻な生体高分子の集合体を形成させて、生命活動を営んでいる。近年、それを模倣した合成高分子の開発が盛んである。たとえば、高分子ミセルやミクロスフェアを形成させ、様々な化合物を包摂させて、ドラッグデリバリーシステムや遺伝子キャリヤー、マイクロリアクターなどとしての利用が期待されている。また、ランダムな会合体の形成によって溶液粘度を著しく増大させたり、ゲル化を起こさせたり、また水中の様々なコロイドとの相互作用によって水処理を行ったり、高分子集合体はこれまでにもさまざまな分野で応用されてきた。 高分子集合体は、疎水性基、極性基、イオン性基、水素結合性基などの官能基を通じて、溶液中で高分子間に強い引力を働かせて形成させるが、その集合体のモルフォロジーやサイズ・サイズ分布は千差万別で、その結果生じる溶液物性変化も非常に多様である。 本講座では、合成高分子の会合体・集合体のモルフォロジー、サイズ、サイズ分布、およびそれらの実験的な決定法、さらにはそれらの形成機構に関する説明を行い、 高分子会合体・集合体を利用する上で必須の基礎的知識をマスターして頂いたのちに、具体的な応用事例をいくつか紹介し、高分子集合体の特性と機能性の関係を明らかにする。