資源のない日本が生きて行く道はものづくりの能力を高めて行くことです。高等教育では科学の分野を広げていますが、コーティングの技能と技術に関しては未だ不十分です。コーティング材の典型である塗料は単独で存在することはできません。常に被塗物があり、その表面を覆う塗装作業が不可欠です。被塗物や目的によって、塗料も塗装方法も異なります。塗装の道を極めるほどに、欠陥が壁として立ちはだかってきます。欠陥は自然現象なので、欠陥の発生機構を解明すれば、防止策と欠陥の逆利用が思い浮かんで来ます。
本講演では、コーティング作業の直行率を向上させることを主目的とし、塗料と塗装の基本技術とは何かを塗装の憲法にまとめました。一方、コーティング材を開発するヒントになる実際の活躍分野、さらには、欠陥の逆利用から新商品開発を発想させる事例をいくつか紹介したいと思います。日頃の問題を解決するワンステップとして、受講をお薦めします。
第1章 塗料の基礎知識と塗装方法
- 塗料とはどんな材料か
- 塗料の分類
- 塗料の固化と乾燥
- 塗装方法
第2章 欠陥を防ぐ塗装の憲法
- 塗装できる環境を整えるべし
- 塗装の段取り (3つの要件) をするべし
- 塗装系の原則を守るべし
- 塗装工程を確立するべし
- 塗りの基本を守るべし
- 塗料配合の原則を守るべし
- 安全作業を守るべし
第3章 コーティング材の活躍分野
- 防さび-大型船舶の塗替え
- 発熱用途-結露防止、融雪、育苗、乾燥
- 木造建築物-厳島神社大鳥居 (海中浸せき部分) の修復
- 微粒子分散液による素地表面と流動性の改質効果
第4章 トラブルから学ぶ塗装技術の極意-こんな時にはどうするか
- ヘルメットのノッチ割れの防止対策とは
- 塗膜の白化現象解析とその対策
- UVコート仕上げ面の鮮映性の経時劣化を防ぐには
- PE被覆水道管の内面コートはく離事件から学ぶこと
第5章 欠陥の発生機構と逆利用
- 塗装時に起きるハジキを利用した模様の形成
- クラック模様の出現テクニック
第6章 質疑応答・名刺交換