日本音楽著作権協会 (JASRAC) が放送局と結ぶ包括利用許諾契約をめぐり、それが他社による音楽著作権管理事業への新規参入を妨害しているわけではないとしていた公正取引委員会の審決について、東京高裁は11月1日、「一部誤りがあった」とする判断を下した。公取委の審判を改めて促す判断だったが、公取委、JASRACともに上告。
この問題について、何が問題とされ、争点となっているかを中心に、一連の出来事の経過も踏まえて解説し、今後の影響について考える。
内閣府規制改革会議の創業・IT等ワーキング・グループで「クラウドメディアサービス実現のための規制の見直し」が13の優先検討項目の1つとして盛り込まれ、9月に開催された会合では、クラウドサービスにおけるコンテンツの取扱いの検討などについて、文化庁関係者と電子情報技術産業協会 (JEITA) 関係者が呼ばれ、ヒアリングを受けている。実質的には、クラウド関連産業の促進を図るため、何らかのかたちで、著作権者の権利制限を促す動きとも見られるが、文化庁文化審議会での検討の状況、私的複製の問題との関連なども含め、解説する。
今年、主に文化庁文化審議会で、異例の急ピッチで審議されてきた、出版者と電子出版に関する著作権法上の規定作りについて、出版者に電子出版権を付与する方針が規定路線となりつつある。 一方、書籍をスキャンし、個人、あるいは代行業者が電子書籍化する、いわゆる「自炊」の問題については、作家らによる裁判や、代行業に関するルール作りなどが同時に進行。これら、ここにきて急展開している電子出版に関する著作権の問題について解説する。