CES2014によって、テレビの近未来の全貌はほぼ明らかになると私は考えている。毎年1月のCESからNAB (ラスベガス) 、IFA (ベルリン) 、IBC (アムステルダム) 、CEATEC、InterBEE、そしてCESという映像関連展示会を巡回し、実際の放送関連業界のコンサルティングに従事している立場から、CES2014での主要なテーマになるであろう「4K」と「スマートテレビ」と「マルチスクリーン」の最新状況と2014年以降の展望を考察していく。考察にあたっては、欧米の状況を踏まえつつも、日本ではどうなるか、何が現実的なのかという視点に重点を置く。
CESでの展示内容は即日インターネットのニュースで速報されるのでそちらをご覧いただくとして、ここではこうしたファクトやスペックだけでは見えてこない、その市場性や、その先に見え隠れするもの、13年連続で参加している定点観測的な視点、また現場の雰囲気なども含めてお伝えしたい。
h4. 2. CES2014の日本の放送業界的なポイント
テレビ局はテレビ端末の開発や製造にはほぼノータッチでノーリスクのビジネスを行なってきた。日本のテレビ局として参考にするべきもの、無視していいものをしっかりと
見極めたい。
映像関連サービスにおいて、「モノ」でどこまで差別化や優位性を得られるのか。コンテンツやサービス、ソフトウエアにどこまで手を入れればいいのか。メーカー的なビジネスポイントを是々非々で指摘したい。
コンシューマー市場はもちろん、放送業界でも世界的に4K化の流れは確実なものとなってきた。アナログからデジタルに行くするために要した時間とコストと比較すると圧倒的に短時間で4K化が実現していく。カメラやテレビなどはコンシューマー機器のほうが4K化が速い。その最新状況と放送業界的な視点で分析をする。CES開催時点では日本国内では未発売のPS4とXbox Oneの与える影響も考える。
スマートテレビ (と呼ばれているもの) は欧米の動きを見る限りコンテンツの話であり、マルチスクリーンというのは視聴スタイルの話である。CES2014を踏まえて、日本ではどういうことが現実的なのかを考える。
欧米ではAereo、Syncbak、MagineといったクラウドTVやクラウドDVRサービスが注目されている。テクノロジーはこれの実現に向けて全て整っていると言える。こうしたサービスに対して視聴者のニーズと利便性がどれくらいあるのか。そして日本での実現の可能性について考える。