炭素繊維複合材 (CFRP) の機械加工をする機会が増えている。特に最新旅客機であるボーイング787の開発以降、工作機械メーカーのCFRP用機械の開発が積極的になり、工具メーカーもCFRP専用の新しい工具の開発が非常に活発になってきた。CFRPを利用した製品も増加し、最近、CFRPの機械加工に関する問い合わせ等が多くなってきている。 CFRPを機械加工すると、簡単に切削や穴加工ができ簡単そうである。しかし、それは工具が新しいうちでのことで、切削距離が増加するにつれ、バリや剥離が発生する。想像していた以上に工具摩耗が激しく、切れ味が悪くなるからである。 したがって、CFRPの機械加工には工具摩耗に対する基礎的な知識が必要で、これを理解した上で切削条件を絞り込むことが重要である。 本講座では、工具摩耗機構を解説し、切削、研削、穴加工の事例を紹介する。また、航空機の構造体では、CFRPとチタン合金を重ね合わせた状態で穴加工をする必要もあり、この材料に対する加工事例も紹介する。 さらに、他の炭素繊維複合材料としてC/Cコンポジットの機械加工事例も紹介する。 これらの、加工事例が今後のCFRPの機械加工の発展に寄与すれば幸いである。