高分子結晶化の基礎と解析技術

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プログラム

結晶性高分子材料の物性は、結晶が織りなすナノからミクロンスケールの階層的な構造により大きく左右される。こうした結晶構造のコントロールは、より優れた物性の発現や、更なる高機能化を図る為に必須である。従って、様々なスケールで結晶の構造を解析すると共に、そうした構造が形成される機構を正しく理解する必要がある。  高分子は長い紐状である事に起因して、特異な結晶化挙動を示す。本講座では先ず、低分子や金属と対比しながら、高分子結晶の構造と結晶化プロセスの特徴について解説する。さらに、物性との関わりが深い項目として、分子構造の規則性、温度条件、配向条件などを取り上げ、最終的にどのような構造形成につながるか、実例を交えながら紹介する。  引き続き、高分子結晶の階層的な構造を解析する手法として、顕微鏡法、および、回折・散乱による解析法について解説する。目的に応じて適切に使い分る事を念頭に、簡易かつ迅速な光学顕微鏡法から最新の放射光を用いた手法まで、幅広く紹介する。  講演の最後には高分子の結晶化メカニズムの解析の方法、新規解析技術についての質問を受け付ける。

  1. 高分子の結晶の基礎
    1. 「結晶」とは何かを再確認する
      1. 「結晶」の定義
      2. 結晶はなぜ生成するか
    2. 高分子結晶の構造的特徴
      1. 低分子結晶との対比
      2. 色々なスケールで見た構造 (単位格子、ラメラ晶、球晶、繊維構造、成形品)
    3. 高分子結晶の生成
      1. 結晶核の形成
      2. 成長のしくみ (二次核生成理論)
      3. 成長速度の評価
    4. 物性との関わりと評価法
      1. 結晶化度
      2. 融点 (結晶化速度と過冷却、ラメラ厚と融点、熱処理による厚化)
      3. 分子構造の規則性 (融点への影響、結晶成長への影響)
      4. 配向
  2. 構造解析法1-顕微鏡法
    1. 「見える」ための必要条件
      1. 分解能 (波長による限界、結像による限界、試料による限界)
      2. コントラスト (明暗、色)
    2. 光学顕微鏡
      1. 照明法について (透過、落射)
      2. 対物レンズ
      3. 偏光顕微鏡
      4. 微分干渉顕微鏡
    3. 電子顕微鏡
      1. 走査型電子顕微鏡
      2. 透過型電子顕微鏡 (明視野像観察、電子回折、暗視野観察、三次元像)
      3. 高分解能観察 (電子線損傷と解像限界、画像処理)
    4. 走査プローブ顕微鏡
      1. 原子間力顕微鏡:AFM (高さ像、位相像)
      2. 走査近接場光学顕微鏡 (SNOM)
      3. フィードバックパラメータについて
  3. 構造解析法2-回折・散乱による方法
    1. 回折・散乱の基礎
      1. ブラッグ回折
      2. フーリエ変換
      3. 逆空間
    2. 結晶の回折
      1. 逆格子 (回折反射の指数、格子面、エヴァルト球)
      2. 乱れた結晶からの回折 (回折点の広がりの解釈)
      3. 多結晶体の回折 (粉末図形、繊維図形)
      4. 微結晶サイズの評価 (シェラーの式)
      5. 様々な観察法
      6. 電子回折
    3. 小角散乱
      1. 積層ラメラの回折
      2. インバリアント
    4. 放射光を用いた解析の実例
      1. 高速時分割測定
      2. マッピング
  4. 高分子結晶化の特性を活用した加工技術の例
    1. ゲル紡糸
    2. ナノ配向結晶体 (NOC)
  5. 高分子結晶、測定法についての議論

会場

江東区役所 商工情報センター (カメリアプラザ)
136-0071 東京都 江東区 亀戸2-19-1
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