第1部 全量買取制度導入後から見る国内メガソーラー事業のビジネスチャンス
(2014年2月21日 10:30〜12:10)
2012年7月1日の再生エネルギー特別措置法 (正式には、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法) 施行からちょうど1年半が経過する。日本においても太陽光発電、風力発電をはじめとした再生可能エネルギーによる電力を固定価格で全量買い取る制度が開始された。世界は、持続的経済成長と地球環境保護の同時達成を求めて、再生可能エネルギーの普及拡大への政策を進めてきた。日本においても、固定価格買取制度 (フィード・イン・タリフ) の導入によって、再生可能エネルギー市場が一段と拡大している。再生可能エネルギー開発は、地球温暖化防止のための温室効果ガス排出削減と新産業創出による景気浮揚の二つの効果があり、長期的な成長性が極めて高い分野である。
しかし、2013年に入って、様々な再生可能エネルギー導入を取り巻く難題が顕在化している。第1に再生可能エネルギーを固定価格買取制度によって、いち早く普及させた欧州諸国は、財政危機による補助金の削減、再生可能エネルギー導入に伴う電気料金の値上げに直面し、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入量を削減している。
第2に再生可能エネルギーの導入によって、国内産業の創出をはかるというシナリオが、安価な中国製太陽光発電パネルに席捲され、完全に崩壊した。第3に日本においても、2012年度の再生可能エネルギー新設計画2,109万キロワットのうち9割以上を太陽光発電が占め、買取価格が高値で設定されているうちに、駆け込み申請を行い、実際の建設が先送りされるという太陽光発電バブルが発生している例が多い。
しかも、土地の広い北海道に太陽光発電が集中し、送電系統の受け入れ許容量を超え、発電コストの安価な風力発電が締め出されるという弊害が発生している。世界各国は国内発電量の1割から2割程度を再生可能エネルギーによって発電するという意欲的な政策を掲げており、メガ・ソーラー (大規模太陽光発電) ビジネスは、長期的には拡大する方向にある。
日本は、世界最先端の太陽電池の高度な要素・素材技術を持ち、大きなビジネス・チャンスを持っている。しかし、世界の主要な太陽電池メーカーがすべて赤字に転落し、再生可能エネルギーによって大きな利益を挙げるというビジネス・モデルは踊り場にある。全量固定価格買取制度とメガーソーラー市場は今後どうなるのか。日本企業にとってのビジネス・チャンスとリスクを予測し、日本企業がとるべき経営戦略について資源エネルギー分野の第一人者が的確に詳説する。
- 2014年における世界の再生可能エネルギー関連ビジネスの現状と大きな変貌
- 日本における固定価格買取制度の最新動向と再生可能エネルギー市場の現状
- シェール革命に沸く米国におけるメガ・ソーラー・ビジネスの現状と今後
- 信用危機に直面するEUにおけるメガ・ソーラー・ビジネスの現状と今後
- 成長著しいアジアにおけるメガ・ソーラー・ビジネスの現状と今後
- 中東におけるメガ・ソーラー・ビジネスの可能性
- 財政危機に直面する各国のメガ・ソーラー政策の動向と今後の可能性
- 全量固定価格買取制度導入による欧米諸国の再生可能エネルギーの課題
- 太陽光発電の最新動向と今後-日本における太陽光発電バブルの現状と今後
- 中国におけるメガ・ソーラー・ビジネスの現状と今後の経営戦略
- 韓国における太陽光発電ビジネスの今後の可能性
- 日本の再生可能エネルギー分野における国際競争力の現状と生き残り戦略
- 世界におけるメガ・ソーラー・ビジネスの可能性と市場規模
- メガ・ソーラー・ビジネスを展開するうえでのリスクと留意点
- 固定価格買取制度の今後と日本企業のビジネス・チャンスと望ましい経営戦略
第2部 メガソーラー事業における法律・契約実務と法的リスクの回避ノウハウ
(2014年2月21日 13:00〜14:40)
再エネ特措法施行後におけるメガソーラー向けの認定容量は他の発電方法に比べて圧倒的な量に上っているが、認定容量に比して稼働実績は著しく小さく、開発上何らかの困難に直面していると思われるケースが多いほか、「売電権付プロジェクト」の売買事例におけるトラブルも報じられている。本講演では、メガソーラー事業における法律・契約実務において留意すべき事項と、法的リスク回避のためのノウハウを概説する。
- メガソーラー事業における実務上の法的留意点
- 政治的・制度的リスクについて
- 調達価格に関する留意点
- 電力システム改革の影響
- 発電所用地に関する事項
- 用地確保上の留意点
- 用地確保の方法
- 用地確保に関する問題事例、等
- 事業計画に関する事項
- 留意すべき事業上のリスク
- 事業計画立案上の留意点 (収入面・支出面)
- 系統連系協議上の留意点、等
- 許認可に関する事項
- 許認可が必要となりうる主な法令
- 特に留意が必要な許認可
- 認定に関する事項
- 認定に関する一般的留意点
- 「報告の徴収」の影響と認定取消しの可能性
- 電気事業法に関する事項
- メガソーラー事業における契約上の留意点
- 特定契約・接続契約に関する事項
- 再エネ特措法上の規定
- 契約実務の状況
- 接続契約に関する留意点、等
- EPC契約に関する事項
- EPC契約におけるポイント
- 契約条項上の留意点
- パネル性能保証についての留意点、等
- O&M契約に関する事項
- O&M契約におけるポイント
- 契約条項上の留意点
- 保険契約に関する事項
- メガソーラー事業における資金調達上の留意点
- ローン契約・スポンサーサポート契約に関する事項
- 金融機関等との契約における留意点一般
- リスク分担、等
- 担保に関する事項
- 担保に関する諸問題
- 担保対象の範囲
- 担保設定の方法、等
- 投資スキームに関する事項
- 「売電権付プロジェクト」売買の留意点
- 問題事例
- 土地関連
- 連系関連
- 認定関連
- 契約関連
- デュー・ディリジェンスにおける留意点
- 何をDDすべきか
- 誰がDDすべきか
- 法務DDにおける留意点
- 売買契約における留意点
- 売主の信用力
- 売買契約の条項 (前提条件、代金支払時期・方法、表明保証、遵守事項、解除事由、損害賠償)
第3部 メガソーラー事業計画書作成ノウハウと、メガソーラーの評価額算定方法
(2014年2月21日 14:50〜16:30)
2012年7月から導入された全量買取制度 (日本版FIT) により、様々な事業者がメガソーラー事業に参入しております。参入時の判断や資金調達に必要なメガソーラー事業計画の作成方法やチェックポイントを解説いたします。
また、今後は稼働しているメガソーラーの売買も活発になることが予想されます。その際のポイントとなるメガソーラーの評価額算定方法についても解説いたします。
- メガソーラー事業計画の概要
- 作成目的と利用者
- 損益計画
- 資金収支計画
- イニシャルコストの見積方法
- 設備費
- 土地造成費
- 土地取得費、地代設定費用
- 売上高 (売電収入) の見積方法
- STEP PV
- 検証機関の利用
- 劣化割合の見積り
- 営業費用の見積方法
- メンテナンス費用 (O&M費用)
- 保険料
- 地代、屋根設置代
- 法人事業税 (収入割)
- 固定資産税、償却資産税
- 減価償却費
- 設備投資
- 撤去費用
- 採算性の指標
- シミュレーション例
- IRRの算出
- DSCRの計算
- メガソーラーの投資スキームと転売
- 自社による投資スキーム
- リースによる投資スキーム
- SPCを利用した投資スキーム
- 信託を利用した投資スキーム
- メガソーラーの評価額算定
- 評価額の必要なケース
- 評価方法
- DCF法
- 割引率の算出方法
- 事業価値算出例
- グリーン投資減税とメガソーラーの評価額