本セミナーでは、微粒子分散系を議論する上で必要な基本事項を説明し、次いでどのように考えたら複雑なスラリー挙動を解明できるのか、具体的なデータを例示しながら解説いたします。
溶融・溶解工程を含まない無機材料プロセスにおいては、数μm 以下の微粒子が原料や中間製品として取り扱われることが多い。そしてそれらの微粒子は乾式ではなく液に分散されたスラリーとして取り扱われ、このスラリー制御の良し悪しが最終製品の性能に決定的な影響を及ぼすことは、広く経験されていることであるが、スラリーの取扱に対する工学の体系化ははなはだ不十分であるため、依然として試行錯誤に頼らなければならない状況が続いている。 微粒子分散系を取り扱う学問としてコロイド科学がある。コロイド科学はスラリーの挙動を議論する上で大変有力な武器にはなるが、粒子濃度が希薄で単純な系を対象としているため、高濃度で複雑な現実のスラリーに適用するには限界がある。一方レオロジーは、スラリーの流動性を議論できる学問であるため流動挙動が大切な成形工程までは大変有効で、現在スラリーは主に流動性を指標として評価されているが、成形体の密度や充填構造を予測しようとすると限界がある。固液分離工学も高濃度スラリーを対象とするが、関心は如何に早く液を抜くかにあり、製品となる粒子側にはほとんど関心が払われていないため、無機材料プロセスにとって有効な学問とは言い難い。 本セミナーにおいては、微粒子分散系を議論する上で必要な基本事項を説明し、次いでどのように考えたら複雑なスラリー挙動を解明できるのか、具体的なデータを例示しながら解説し、受講者と一緒に考えいく。
はじめに