成形時に発生する残留ひずみは、光学的性能の低下、割れ不良、寸法不良などのトラブルの原因になる。残留ひずみは、材料選定、製品設計、成形条件などの対策で発生を防止する必要があるが、どうしてもアニール処理によって残留ひずみを除去せざるを得ないケースもある。しかし、アニール処理は、残留ひずみ除去にとって万能な方法ではない。アニール処理で除去できないひずみもあるし、かえって製品の性能を低下させることもある。
本講では、残留ひずみについて理解を深め、適切なアニール処理の方法について、現場的観点から解説する。
- 残留ひずみの発生原理・対策
- 残留ひずみは、なぜ発生するか
- 分子配向による残留ひずみ
- 冷却時の比容積差による残留ひずみ
- インサートによる残留ひずみ
- 二次加工 (溶着、機械加工) による残留ひずみ
- 残留ひずみはどのような成形工程で発生するか
- 射出成形
- 押出成形
- ダイレクトブロー成形
- 真空成形
- 材料の選定はどうすればよいか
- 製品設計上の対策はどうすればよいか (射出成形を例にして)
- 成形条件上の対策はどうすればよいか (射出成形を例にして)
- 残留ひずみの検出にはどのような方法があるか (現場的方法を中心に)
- 光弾性法
- 溶媒浸漬法
- 削除法
- 加熱法
- 残留ひずみによるトラブル
- 光学的ひずみ
- 強度の異方性
- 割れ不良
- 寸法不良
- アニール処理
- 応力緩和とはなにか
- アニールとはなにか
- アニール温度と時間選定はどうすればよいか
- アニールはどうすればよいか
- 熱風加熱炉
- オイルバス、温水槽
- 遠赤外線加熱
- 樹脂によりアニール条件選定はどうすべきか
- ポリカーボネート
- ポリアセタール
- ポリエーテルエーテルケトン (PEEK)
- その他
- アニール処理するときの注意点はなにか
- アニール処理で除去できない残留ひずみはあるか
- アニール処理はどのような場合に必要か
- 塗装、印刷、めっき
- 厚肉製品 (丸棒、厚板)
- 強度の向上、寸法の安定化