第1部 シリコン/炭素複合体負極のナノ構造制御による高性能化
(2014年1月17日 10:30〜12:00)
近年、シリコン (Si) 系高容量負極材料の開発が活発化している。Siは内部抵抗が大きくサイクル劣化が激しいため、ナノ構造制御および炭素など良電体との複合化が重要である。これまで多くのSi系材料およびSi/炭素複合材料が報告されているが、合成法が特殊で実用に不向きなものも多い。本講演では、Si系材料の中で最も実用に近いと考えられる、Siナノ粒子を取り上げる。炭素との複合化およびSi周囲への空隙の配置など、ナノ構造の制御による充放電特性の高性能化の指針について解説する。また、Si粒径やバインダーの影響についても言及する。
- Si系負極材料
- 理論容量の考え方
- 負極容量と電池パックのエネルギー密度の関係
- 一般的なSi系負極材料の設計指針
- Siナノ粒子周囲への緩衝空間導入
- 鋳型合成による緩衝空間サイズ制御
- 緩衝空間サイズの最適値
- Siナノ粒子の構造変化の理解とその利用
- Siナノ粒子の構造変化の詳細な追跡
- 炭素被覆による影響
- 構造変化と充放電特性との関係
- Siと炭素がナノレベルで混合したシワ状構造の発現
- 容量制限による劣化抑制
第2部 Si系負極を用いたリチウムイオン電池の設計技術と電池特性
(2014年1月17日 12:45〜14:15)
近年,電気自動車 (EV) やハイブリッド自動車 (HEV) の駆動用電源としてのリチウムイオン電池の研究・開発が精力的に行われている.従来の4 V系酸化物正極/グラファイト負極電池は45度以上の高温下で顕著に劣化する.車載用電池では長寿命化や高安全性の観点から,60度以上の高温耐久性が強く望まれている.本講演では,各種正極/Si系負極電池の設計や高温特性などについて解説する.またSi系材料は黒鉛負極とは異なり,初期充放電過程において不可逆容量がある.そのため正極と組み合わせる際にはあらかじめ不可逆容量分に相当するリチウム量をドープしなければならなかった.本講演では,既存のプリドープ技術とは異なる電池設計技術についても解説する.
- Si系負極を用いた高容量・耐熱性電池の設計技術と特性評価
- 各種正極とSi系負極とを用いた電池の設計と特性
- 各種正極/Si系負極電池の高温特性
(4V級酸化物正極への表面処理,水系バインダーやイミド系バインダー使用による特性改善)
- 高容量4V級酸化物正極/Si系負極電池の安全性評価
- Si系負極を用いた高容量プレドープフリー電池の設計技術と特性評価
- Si系負極材料の初期特性と従来のリチウムドープ技術
- 4V級正極とSi系負極とを用いたプレドープフリー電池の設計と特性
- プレドープフリー電池の高温・低温特性
- プレドープフリー電池の安全性評価と安全メカニズム
- まとめと今後の課題
第3部 シリコン系負極材料の特徴・課題と開発動向・将来展望
(2014年1月17日 14:25〜16:30)
- 車載用や定置用に求められる電池性能と課題
- シリコン系負極の特徴と新規バインダ、集電体
- SiO系負極の開発と電池性能、安全性評価
- Si/SnC2O2系負極の開発と電池性能、安全性評価
- Si/Sn-Sb硫化物系負極の開発と電池特性、安全性評価
- Naイオン電池用負極材料の開発と電池特性、安全性評価
- 将来展望