本セミナーでは、世界の再エネビジネスの最新動向や、関連技術の進展などの情報に触れながら、2014年以降の市場の見通しと、日本企業がどのような戦略で事業展開・市場参入を進めていくべきかについて解説します。
2012年7月1日の再生エネルギー特別措置法 (正式には、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法) 施行から1年半が経過する。
日本においても太陽光発電、風力発電をはじめとした再生可能エネルギーによる電力を固定価格で買取る制度が開始された。世界は、持続的経済成長と地球環境保護の同時達成を求めて、再生可能エネルギーの普及拡大への政策を進めてきた。日本でも、固定価格買取制度 (フィード・イン・タリフ) の導入によって、再生可能エネルギー市場が一段と拡大している。
再生可能エネルギー開発は、地球温暖化防止のための温室効果ガス排出削減と新産業創出による景気浮揚の二つの効果があり、長期的な成長性は極めて高い分野である。
しかし、2013年に入って、様々な再生可能エネルギー導入を取り巻く難題が顕在化している。第1に再生可能エネルギーを固定価格買取制度によって、いち早く普及させた欧州諸国は、財政危機による補助金の削減、再生可能エネルギー導入に伴う電気料金の値上げに直面し、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入量を削減している。第2に再生可能エネルギーの導入によって、国内産業の創出をはかるという当初のシナリオが、安価な中国製太陽光発電パネルに席捲され、完全に崩壊した。環境先進国である欧州諸国は、再生可能エネルギーへの支援政策の見直しを行っている。
第3に日本においても、2012年度の再生可能エネルギー新設計画2,109万キロワットのうち9割以上を太陽光発電が占め、買取価格が高値で設定されているうちに、駆け込み申請を行い、実際の建設が先送りされるという太陽光発電バブルが発生している。しかも、土地の広い北海道に太陽光発電が集中し、送電系統の受け入れ許容量を超え、発電コストの安価な風力発電が締め出されるという弊害が発生している。
世界各国は国内発電量の1割から2割程度を再生可能エネルギーによって発電するという意欲的な政策を掲げており、再生可能エネルギー・ビジネスは、長期的には拡大する方向にある。日本は、世界最先端の太陽電池、風力発電、地熱発電をはじめとした高度な要素・素材技術を持ち、大きなビジネス・チャンスを持っていると考えられる。
しかし、世界の主要な太陽電池メーカーがすべて赤字に転落し、再生可能エネルギーによって大きな利益を挙げるというビジネス・モデルは転換点にある。
固定価格買取制度と再生可能エネルギー市場は2014年にどうなるのか。日本企業のビジネス・チャンスとリスクを予測し、日本企業がとるべき経営戦略について明確に解説する。