本年8月に社会保障制度全般にわたる改革の柱となる「社会保障制度改革国民会議」の報告書が公表され、これと並行して社会保障審議会医療部会においては、次期医療法改正に関する議論が積み重ねられている。
また、来年には診療報酬改定が実施されることとなっており、病院経営を取り巻く環境は大きく変わろうとしているが、様々な審議が並行的に行われているため、これらの関連性、方向性についての情報があふれ、病院サイドにとっては多少の混乱が生まれているといえよう。
これに加え、税制改正議論の中では、社会保障費の財源に与えるための消費税率の引き上げが決定し、この改正のインパクトを考えれば、対応の仕方如何によって病院経営に多大な影響を与えることが予想される。
このような病院経営を取り巻く制度改正等についての情報を正しく整理し、今後病院が進むべき道筋をはっきりさせることは、病院経営にとって今やらなければならない最優先課題である。
本講では、これら社会保障制度改正に関する様々な情報を整理し、制度改正が目指す方向性を明らかにするとともに、これへの対応スタンスを考察してみたい。