本講演では、著作権の陰に隠れがちな商標権、肖像権・パブリシティ権などに関わる法令・判例、実務での取扱い等について、実際の相談事例なども交えながら解説致します。
~ある企画会議にて~
「“オリンピックと日本の軌跡 1964~2020“と題して、日本の復興と今後の成熟社会のあり方を問うべく、過去の大会映像や写真、出場選手のプロフィール、競技結果等を編集し、それぞれの時代考察等を交えたコンテンツを作成して、テレビ放送やウェブサイト上での有料配信等を行う」といった、内容の企画書を受け取った法務担当の貴方の頭に真っ先に浮かんだ法律は何だったでしょうか。
コンテンツビジネスにおいて無視できない法律の筆頭格である「著作権法」。確かに、コンテンツのデジタル化やインターネットの普及によって、「著作権法」はより身近な存在になりました。そして、「著作権法」に関しては、入門者向けの基礎的なものから、実務家向けの法律・判例の解説書や講演等の高度で最先端なものまで、その充実ぶりには目を見張るものがあります。もちろん、出版、映画・映像、音楽、イベント、商品化その他のいわゆる知的財産権が関係するコンテンツビジネスにおいて、「著作権法」の理解やその先例、実務等の知識が欠かせないのは確かです。
他方で、「著作権法」がカバーしていない領域における法的リスクについても、差止請求等があり得る以上、著作権法と同様の配慮が必要であることも否定できません。商標法について言えば、「商標権の侵害にあたる、他人の商標を商標として利用するとはどういうことか?」といった、基本的でありながら重要な部分の理解が不十分なために、無用な紛争を招いたり、不必要な解決を図ろうとしたりするケースも少なくありません。
しかしながら、商標、肖像・プライバシー・パブリシティ、不正競争、不法行為など、著作権と同様にコンテンツビジネスと密接に関係するものでありながら、あまり日常的に見聞きすることの少ない事項については、著作権に関する講演等の中で付随的に説明がなされることはあっても、それらの基礎的な理論や実務対応における勘所が詳しくまとめて解説される機会は少ないのではないでしょうか。
また、めまぐるしい環境の変化にさらされている著作権に関する法律・判例・実務についての知見を広げるだけでも手いっぱいの中で、さらに、その周辺の法領域について理解を深めることは、なかなか困難なのではないでしょうか。
本講演では、著作権の陰に隠れがちな商標権、肖像権・パブリシティ権や、いわゆる商品化権などと呼ばれる権利、これに関わる法令・判例、実務での取扱い等について、日々の業務や弁護士等の専門家との相談の際に活かしていただけるように、実際の相談事例なども交えながらそれぞれの基礎的な理解を深めていただきつつ、実務対応におけるプロセス、勘所などについてもお伝えしたいと思います。