機器測定の目的は、①毛髪ダメージを多面的かつ定量的に評価すること、②得られた結果を総合的に考察して現象の本質を捉えること、③その知見を技術開発に生かすことにある。しかしながら、測定対象である毛髪は生体試料であることから個体差が大きく、測定結果のばらつきを抑えることが重要となってくる。
本講座では、サンプル調製時や測定時に押さえておいた方が良いと思われる事項など、実際に行ったダメージ解析を例に概説する。
- 毛髪概要 (基本情報)
- 毛髪の構造、組成と機能
- ダメージ要因と毛髪構造・物性の変化
- ダメージ要因、毛髪構造・物性の変化とダメージ実感との関係
- 毛髪の機器測定
- 機器測定の前に考えておくこと (何のために測定するのか、どこまで測定するのか)
- 種々の毛髪物性測定方法とその特徴
- 測定方法選択のポイント (何を知りたいか、測定部位は、構造の大きさは)
- 測定結果のばらつきに及ぼす毛髪特性 (部位差、ダメージ度など) とサンプル調製の留意点
- 結果の取り扱い (特異値の取り扱い、統計処理による考察など)
- 毛髪機器測定の実例
- 太陽光ダメージ
- 観察 (目視、SEM)
- 接触角
- TOF-SIMS
- 引張強度
- 摩擦
- (ブリーチ+洗髪) ダメージ
- 観察 (目視、AFM、ASE-SEM)
- 動的粘弾性
- DSC
- 微小引張
- 熱移動特性 (qmax) 、毛流れの可視化