粒子の分散安定化は材料設計において基本技術の一つである。有機顔料や金属酸化物・金属、カーボン系など粒子の構造・特性はそれぞれ異なる。また用途により、分散媒体やマトリクス (バインダー) も多岐にわたる。可能ならば、統一的・汎用的な見方があると、分散へのアプローチが楽になる。ここではコーテイング分野の実例を多く取り上げて、分散設計へのガイドとしたい。
あわせて、分散液を塗布するときにおける実際的な問題 (濡れ性・沈降・泡・平滑性など) についても、その解決策を紹介する。分散剤をはじめ、ここに紹介する各種添加剤はできうる限り、その構造と特徴、選択方法を示すようにした。
- どのようにして分散安定化を図るか:粒子とマトリクスと分散剤
- ―問題は沈降?透明性?粒度分布?色?導電性?
- ―溶媒のみ?バインダーも入る?
- ―そもそもどのような性質の粒子か?有機顔料、金属酸化物、金属、カーボン系
- どうして分散剤で分散・安定化が図られるのか:メカニズム
- ―粒子との相互作用、まずは吸着すること
- ―周りにも気を使うこと、バインダー・溶媒との相互作用
- ―忘れてならないのは最終製品の姿、使われ方、特性への影響
- では具体的にどのような分散剤があるのか:その構造と特徴
- ―比較的小さな分子の分散剤、直鎖状ポリマー
- ―分岐した構造の分散剤、いわゆるくし形構造
- ―ABブロックの分散剤
- ―超分岐タイプの分散剤
- ―水系、溶剤系、UV系向けそれぞれの分散剤
- 最終製品によって求められる特性は異なる
- ―カーボン系粒子の分散例
- ―CNTの分散例
- ―シリカ、アルミナの分散例
- ―インクジェットでの分散例
- ではどのようにして分散液を均一に塗布するか;消泡剤、濡れ剤、レべリング剤
- ―泡をなくしたい、水系では消泡剤は必須
- ―きちんと基材に濡らしたい、薄膜では特に問題が多い、水系では深刻
- ―塗布した時はよいが乾燥過程で平滑性が損なわれる
- ―表面張力が関与するのはわかるが、どのようにして調整する
- 粘性制御について整理しておこう
- ―分散体による粘性
- ―添加するだけで粘性をコントロールするレオロジーコントロール剤
- ―そもそも粘弾性・レオロジーの基礎
- ―どんな粘性がこのましい
- 表面張力についても確認しよう
- ―液の表面張力
- ―固体・フィルムの表面張力
- ―表面張力を上げる添加剤
- ―表面張力を下げる添加剤