医療機器は多種多様であるため、その承認審査においては個々の事例に応じた対応
が求められるケースが少なくない。従来から指摘されているデバイスラグを解消し、
次世代成長産業と考えられている医療機器を市場に送り出すことが望まれている。厚
生労働省では、2011年に、医療機器の特性を踏まえた薬事法改正が進められている。
医療機器に関する事項については、医薬品等と章を区分して規定することを進めている。成長戦略の中核となる医療機器分野に異分野から参入する環境整備のため、クラス分類の見直しが図られ、これまでのクラスⅡが第三者認証になった。
また、医療機器の特性を踏まえた薬事法の改正と審査迅速化のための体制強化が図られた。医療機器は人体を対象にするため、患者に直接接触する金属性医用材料は、金属イオンの溶出がない、耐食性にすぐれること、機械的性質にすぐれること、および弾性率が適切であることが必要とされている。バイオセラミックスは生体との親和性も高く、硬く・錆びない。電気絶縁性にすぐれている。高分子材料として、医療用衣料について本講座で詳述する。
医療機器への応用展開を図るには、モデルの低価格化、画像処理装置のデータのオープン化、ソフトウエアの充実およびクリーンかつ安全な環境への対応が必要である。管理区分のクラスⅡを手掛かりに、材料分野からの医療分野参入、非侵襲性の診断装置である医療診断装置の新規進出について徹底解説する。