太陽電池・リチウムイオン電池などの新・省エネルギー、電子、航空・宇宙、医療などの各種先端技術分野に広く利用されている新素材は、ファインセラミックス、新金属材料、高分子材料、電池・電子材料、複合材料などで、いずれも原料素材や中間素材の調合合成により誕生した材料である。この新素材の多くは、その原料素材や中間素材は粉体であり、その製造プロセスの中に粉づくりのプロセスが存在し、高いレベルの粉体処理技術が求められている。
これら原料素材 (粉体) の粒度を調整する手法として代表的なものに粉砕・分級がある。特にサブミクロン粒子製造という場合には、粉砕機に対しては1 μm以下の粒子を可能な限り多く、短時間に、なおかつエネルギーコストがかからぬよう製造するという技術が要求される。また、分級機に対しては、粉砕後でも残留する数μm以上の粗大粒子を正確に収率良く除去するという厳しい条件が要求される。
石臼に始まり、今まで、各種粉砕機・分級機に多くの技術が提案され、硬い物質をいかに、効率よく、できるだけ細かく粒度調整するという技術はかなり進んできた。しかし、樹脂粉・繊維状物質・金属粉などの粉砕しにくいものを目的の粒度に調整するという技術はまだまだ越えるべきハードルが多い。粉砕と分級は相互に関連することの多いテーマ (単位操作) である。また、粉砕・分級を使わなくても、希望の粒子を簡易に作り出せる装置として噴霧乾燥がある。ロータリーディスクや、ノズルを使って、数ミクロンから数百ミクロンの粒子を生成できる。この技術についても紹介する。
一方、多くの人にとって身近な食品粉体の世界では、粒度は粗いものの、篩分け技術が品質管理をする上でとても重要である。異物混入防止は食品製造のもっとも優先順位の高いテーマであり、篩が大きな責任を担っている。実際の異物混入事故を通して、食品製造における篩技術のあり方、粉体製造工場におけるHACCPの考え方について紹介する。
このセミナーでは、粉砕やスプレードライも踏まえつつ、篩・分級技術にスポットを当て、基本の考えから実際の応用例までを説明する。。