自動車軽量化に貢献する高機能化樹脂開発の動向
第1部 自動車軽量化動向と樹脂部品市場の今後の見通し – これから樹脂化が進む部品・進みづらい部品 -
(2013年12月3日 10:30〜11:50)
加熱する低燃費化競争によって様々な取り組みがなされる中、軽量化の重要性はますます高まりつつあります。特に、航続距離が重要なボトルネックとなる電動車両にとって、軽量化は避けられないテーマです。本講演では、電動パワートレインを中心に、3つのトピックに触れます。
1つ目は、何故軽量化が重要なのか、2つ目が、軽量化に向けた現在の自動車メーカーからのニーズとそれに対してサプライヤがどういう動きをしているのか、そして最後に軽量化を通して自動車メーカーにどう貢献していくべきか。これらの3つの視点から軽量化の将来についてお話しさせていただきます。
- 軽量化のモチベーション
- 低燃費化・低炭素化に向けた規制
- 軽量化による燃費改善効果
- 電動車両における軽量化の重要性
- 軽量化する部品・しない部品
- 部品別の軽量化ポテンシャル
- 各社の取り組み
- 電動車両における軽量化機会
- 軽量化にどう取り組むべきなのか?
- 軽量化実現のために重要な要素
- 軽量化実現に向けた協業体制
第2部 オンライン塗装可能な次世代樹脂フェンダー材の開発
(2013年12月3日 12:30〜13:40)
自動車軽量化のための部品樹脂化の主な事例としては、一般にバンパーフェイシャとインストルメントパネルを初めとする内装材が知られている。最近それ以外に外装パネルや窓ガラス、構造材を樹脂化することで、一層の軽量化と生産性向上を図る動きが見られる。
本講では外装パネル樹脂化の代表例として、樹脂フェンダーの開発と材料メーカーとしてのSABICの取り組みについて、三菱自動車殿での事例を中心にご紹介する。
- 自動車部品樹脂化の動向
- 樹脂化の必要性
- 自動車部品樹脂化の現状
- 今後の部品樹脂化の可能性
- NORYL GTX樹脂によるフェンダー樹脂化
- 樹脂フェンダーの採用事例
- フェンダー樹脂化の利点と課題
- 樹脂フェンダー材料への要求特性
- 樹脂フェンダー向けNORYL GTX樹脂
- フェンダー樹脂化の課題とSABICの取り組み
- 樹脂フェンダー開発の流れ
- フェンダー樹脂化の課題と対応
- 事例:熱変形解析による部品設計の最適化
- 事例:樹脂特性を活かした歩行者保護構造の一体化
第3部 高機能性ポリアミドの開発と自動車部品への適用状況
(2013年12月3日 13:50〜15:00)
自動車の内外装部品への機能性ポリアミドの採用を、比重と弾性率で仕分けして、ABS、PPなどの汎用樹脂から代替された例と金属から代替された例について、樹脂特性と設計コンセプトを交えて紹介します。
従来の機能性ポリアミドで製品化されていた比重x弾性率バランス領域をブレークスルーした「発泡ポリアミド」と「ガラス高充填ポリアミド」の設計例について設計コンセプトと特性例を紹介します。
また、新しい付加価値を目指して設計された高機能植物由来ポリアミドについて紹介します。
- 自動車内外装における機能性ポリアミド採用事例
- 機能性ポリアミドの特性領域
- 製品事例と機能特性
- 樹脂化を進めるためのコンセプト例
- 発泡に適したポリアミド樹脂の設計
- コアバック発泡に適したポリアミド改質コンセプト
- ポリアミド改質、成形条件による発泡状態コントロール
- 発泡状態と成形品特性
- 製品事例、発泡成形品特性例
- ガラス高充填ポリアミドの設計例
- ガラス高充填化による強度、弾性率挙動
- ガラスの形状と破損傾向から得られる設計コンセプト
- ガラス高充填ポリアミドの設計例と特性紹介
- 高融点植物由来ポリアミドの紹介
- 材料コンセプト
- 特性例
第4部 PPS樹脂発泡体の開発と自動車分野への適用展望
(2013年12月3日 15:10〜16:20)
マイクロレベルの気泡を有する、ポリフェニレンサルファイド樹脂発泡体 (MCPPS) について紹介する。
MCPPSは耐熱性、成形性、難燃性、耐薬品性に優れた発泡体であり、現在、自動車分野への適用可能性を見据えて開発を行なっている。
本講演では、当社で行っているMC発泡法の特徴をはじめ、MCPPSの開発コンセプトや用途提案、今後の開発方針について説明する。
- 古河電工の発泡技術
- MC発泡技術とは
- MC発泡体の特徴
- MCPPSの開発
- 開発コンセプト
- PPS樹脂の特徴
- MCPPSの特徴
- MCPPSの自動車分野への適用展望
- MCPPSのターゲット市場
- 自動車業界の動向とニーズ
- MCPPSの用途提案
- 今後の方針と課題
自動車次世代エンジンの開発とエネルギー回生技術
第1部 日産自動車の環境への取り組みとガソリンエンジンのダウンサイジング技術
(2013年12月9日 10:30〜11:50)
自動車会社の社会的な責務である持続可能な社会の実現に向けた取り組みに関し,一例として日産自動車の環境への取り組み内容を紹介するとともに, ガソリンエンジン搭載車の燃費向上技術の一つであるダウンサイジング技術について解説する。
- 取り巻く環境
- 地球温暖化問題とその影響
- 温暖化を抑制するために
- 温暖化を抑制するために
- 原油生産量と見通し
- エネルギー課題
- 環境に対する取り組み
- 日産自動車の取り組み
- CO2削減に向けた技術革新
- ガソリンエンジンのCO2低減技術
- 技術開発の方向性
- 効率向上技術
- エネルギー回生技術
- ガソリンダウンサイジング過給エンジン
- ダウンサイジングでCO2が低減できる理由
- ダウンサイジング過給を支える技術
- 新開発4気筒1.6L直噴ターボチャージャエンジン
- 新開発3気筒1.2L直噴スーパーチャージャエンジン
- まとめ
第2部 クリーン&グリーンディーゼルエンジンとその将来動向
~低排出ガス化・低燃費/低CO2化~
(2013年12月9日 12:30〜13:50)
ディーゼルエンジンの歴史を野出た後,今日のディーゼルエンジンを取り巻く環境に目を向け,商用車用ディーゼルエンジンの今日までの熱効率向上と排出ガス低減の経緯を詳述する。その後,ディーゼルエンジンの燃焼とその制御技術を紹介する。
次に,後処理システムを装着したエンジンシステムと,その制御技術およびディーゼルエンジンの予混合圧縮着火燃焼に触れる。そして,ディーゼルエンジンの低燃費化・低CO2化を論じ,ディーゼルエンジンの未来を論じたい。
- はじめに
- ディーゼルエンジンの概要 (ガソリンエンジンとの比較)
- ディーゼルエンジンの歴史
- ディーゼルエンジンを取り巻く環境
- 排出ガス規制とその対応
- CO2と燃費基準について
- ディーゼルエンジンの出力と熱効率向上および排出ガス低減技術の経緯
- 出力と熱効率向上の経緯
- 排出ガス低減技術の経緯
- ディーゼルエンジンの燃焼とその制御技術
- ディーゼルエンジンの燃焼コンセプトと理論サイクル
- ディーゼルエンジンの燃焼制御技術
- ディーゼルエンジンの後処理システムとその制御技術
- PM低減用後処理システム (DPFシステム)
- NOx低減用後処理システム (LNT,SCRシステム)
- PM&NOx同時低減後処理システム
- 予混合ディーゼル燃焼
- HCCI燃焼
- PCI燃焼
- ディーゼルエンジンの低燃費化・低CO2化技術
- 燃焼とサイクル
- 各種損失低減&廃熱回収
- HEV化
- バイオディーゼル燃料 (BDF)
- おわりに
- ディーゼルエンジンの将来動向とその未来
第3部 予混合圧縮自己着火 (HCCI) 燃焼と廃熱回収を組み合わせた高効率エンジンシステム
(2013年12月9日 14:00〜15:20)
予混合圧縮自己着火 (HCCI) 燃焼の特徴ならびに自動車エンジンへの応用における課題について概説したうえで、エンジン排気熱を利用した燃料改質により化学的な廃熱回収と燃料着火性の制御を同時に可能とすることで高効率のHCCI燃焼エンジンシステムを実現する研究例について詳しく紹介する。
- 予混合圧縮自己着火燃焼の特徴と課題
- 混合気形成と着火方式によるエンジンの分類
- 予混合圧縮自己着火燃焼エンジンの位置づけと利点
- 予混合圧縮自己着火燃焼の自動車エンジンへの応用における課題
- 自動車の効率向上における廃熱回収の有効性
- エンジンの熱効率と熱バランスの基礎
- 自動車における廃熱回収技術
- 燃料改質による化学的な廃熱回収
- 予混合圧縮自己着火燃焼と廃熱回収を組み合わせた高効率エンジンシステム
- 予混合圧縮自己着火燃焼における水素による着火制御
- 水素が持つ低温酸化反応抑制効果
- メタノールの改質による水素とジメチルエーテルの生成と化学的な排気熱回収
- 予混合圧縮自己着火燃焼と廃熱回収の組み合わせによる高い総合効率
- まとめ
第4部 自動車の燃費向上に向けた回生制動・エネルギ回収技術の動向
(2013年12月9日 15:30〜16:50)
自動車の燃費向上は,エンジンの効率改善,動力伝達系のロスの低減などのパワートレインの効率改善に加えて,ブレーキで消費している運動エネルギ・位置エネルギの回生,ロスとして発生する廃熱からのエネルギ回収など様々な方法で達成されている.本講では燃費向上手法の概要について述べ,EVやHEVなどの電動車両で効果の高い回生制動の変遷と現状,課題について述べたのち、近年盛んになってきたガソリン車での回生制動の特徴と,課題について述べる,
あわせて,廃エネルギの回収技術の概要についても紹介する。
- 自動車の燃費向上技術の概要
- 自動車のロスの寄与度と改善手法の概要
- 動力源の高効率化手法の概要 (EV化,HEV化/エンジン車での定石)
- 駆動系以降のロスの低減手法の概要
- ロスの回生 (回収/再利用) 手法の概要
- EV,HEVの回生制動の目的と効果
- 回生制動技術の変遷
- パワートレインの形式と回生制動の効果
- 回生システムの考え方と課題
- 要素部品と回生効果
- 回生・摩擦制動協調制御の現状と課題
- エンジン車の回生制動
- 2ステージオルタネータと回生制動の原理
- 現状のシステムの分類
- システムの効率を左右する要素
- 省燃費化の要求とシステムのトレンド
- 廃エネルギ回収技術の現状と課題
- 熱電変換
- 熱音響変換
- 排気圧利用
素材技術・成形技術から見るCFRP/CFRTPの高性能化と成形速度向上要素技術
第1部 量産EVに学ぶ CFRPへの要求特性と課題展望
(2013年12月16日 10:00〜11:00)
自動車から排出される二酸化炭素削減技術の一つとして注目される電気自動車にとり、軽量化は従来型自動車以上に重要である。 この軽量化のために電気自動車専用の車体を設計、その構造部材にCFRPを採用、生産工程から専用に開発した。車両の概要、CFRPの採用へのロードマップおよび生産プロセスを紹介する。
- 次世代自動車への課題
- さまざまな規制とグローバルな自動車台数の増加
- 背反する要求への対応が求められている
- CO2削減のための技術
- パワートレイン改良によるCO2削減
- 総合的なCO2削減
- 軽量化によるCO2削減
- 電気自動車の役割と課題
- BMWにおける電気自動車の開発
- 電気自動車の現状と問題点 (航続距離と電池のサイズや重量)
- 自動車用材料の転換研究
- BMWにおける材料開発の取り組み
- BMWにおける材料開発事例
- BMWの車体へのCFRP採用の取り組み
- CFRP採用へのロードマップ
- 量産型電気自動車へのCFRP適用設計
- 量産型電気自動車へのCFRP製造プロセス開発
第2部 CFRP/CFRTPの高強度化に向けた、材料及び複合化技術
(2013年12月16日 11:10〜12:40)
炭素繊維は、低密度 (1.8g/cm3) でありながら、高強度・高剛性を有する機械的性能に優れた材料と認知されているが、典型的な脆性材料であり、繊維単独では機械的特性を発現させることは出来ず、延性材料である樹脂材料と複合化して用いられるのが一般的である。そのため、樹脂との複合化で最大の性能が発現するように、炭素繊維は各種表面処理が施されている。
本講演では、炭素繊維の機械的性質を中心に各種性能と、樹脂との複合化のために炭素繊維に付与されている表面処理技術、さらに複合材料としての性能発現について熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂それぞれについて紹介する。
- 炭素繊維について
- 炭素繊維の特徴
- PAN系炭素繊維の強度
- PAN系炭素繊維の構造と各種特性
- 表面処理について
- PAN系炭素繊維の表面
- 表面酸化処理技術
- サイジング処理について
- 炭素繊維複合材料の界面特性と機械的性能発現について
- 熱硬化性樹脂系
- 樹脂含浸性
- 界面接着性とコンポジットの機械的性能発現
- 熱可塑性樹脂系
第3部 連続繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の成形性改良に向けた中間材料及び成形技術
(2013年12月16日 13:30〜14:30)
連続繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の成形における問題点を挙げ、成形性の向上のために開発された繊維状中間材料について、最近の開発状況も踏まえて概説する。またこれらの中間材料を用いた、連続繊維強化熱可塑性樹脂複合材料のハイサイクル成形技術について
述べる。
- はじめに
- 連続繊維強化複合材料の研究開発動向
- 連続繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成形の問題点
- 連続繊維強化熱可塑性複合材料成形のための中間材料
- 含浸における基礎事項
- 様々な中間材料の長所と短所
- 混繊技術を用いた繊維状中間材料の開発
- 組物技術を用いた繊維状中間材料の開発
- Powder Impregnated Fabricの開発
- 連続繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の界面特性と含浸特性の協調関係
- サイジング剤の影響
- マレイン酸変性の影響
- 界面特性と含浸特性の両立 (繊維の表面処理)
- 界面特性と含浸特性の両立 (In-situ樹脂ハイブリッド)
- 連続繊維強化熱可塑性複合材料のハイサイクル成形技術
- 電磁誘導加熱システム
- 引抜成形システム
第4部 CFRP部材の量産を可能にするPCM (Prepreg Compression Molding) 法の特長と適用例
(2013年12月16日 14:45〜15:45)
近年、環境負荷低減のための自動車の軽量化に炭素繊維複合材料 (CFRP) は非常に有効な材料であるが、量産車部材に適用するためのハイサイクル成形法及びその成形材料の開発が不可欠である。速硬化プリプレグのプレス成形であるPCM法はハイサイクル成形法として非常に有用なプロセスである。開発した技術とその適用例を紹介する。
- 炭素繊維市場
- 炭素繊維市場の近年の動向と今後の展開
- 自動車CFRP用途の今後の展開
- 自動車CFRP量産プロセスの開発状況
- PCM (Prepreg Compression Molding) 法
- PCM法の特長
- PCM法プロセス概要
- PCM用中間基材;プレス成形用速硬化プリプレグ
- プリフォームプロセス
- プレス成形プロセス
- SMC (Sheet Molding Compound) とのハイブリッド成形
- 粒子コアPCM法による中空構造の成形
- 外板部材への適用
- 構造部材への適用
- まとめと今後の展望
第5部 直接射出成形法による炭素繊維高強度製品製造技術
(2013年12月16日 16:00〜17:00)
炭素繊維強化樹脂 (CFRP) は軽量かつ高強度・高剛性であり、金属の代替に用いることで部品の軽量化を実現できる手段として期待されている。
弊社では、各工法の中でも最も生産性のよい射出成形によるCFRP高強度製品を生産する技術として、オンラインブレンド射出成形機を開発し、更に熱可塑性プリプレグのプレス成形と組み合わせたハイブリッド成形に取り組んでいる。それらCFRPに関する成形技術について紹介する。
- 概要
- プラスチック製品に関する軽量化技術動向
- CFRPの種類
- 繊維樹脂射出成形
- 長繊維ペレットでの射出成形
- 成形事例
- オンラインブレンド射出成形機
- 構造と特徴
- 成形事例
- 熱可塑性プリプレグを用いたハイブリッド成形への展開
- 成形事例