第1部 音の心理・物理メカニズムと音質評価技術
製品の快音化を図るためには,「なぜ悪い音に聞こえるのか?」「どのようにすれば良い音に聞こえるか?」といった,音の心理・物理メカニズムを知る必要があります。第1部では,音質の評価・分析・デザインにつながる聴覚の基本的メカニズムを概説するとともに,それに基づく音質評価・改善の実例を紹介します。
- 聴覚の基本特性とモデル
- 可聴範囲と周波数特性
- 弁別能・分解能
- 臨界帯域 (聴覚フィルタ)
- 個人差と加齢の影響
- 音質の評価と改善の実例
- 物理評価技術
- ラウドネス (音の大きさ)
- シャープネス (鋭さ)
- ラフネス (粗さ) と変動強度
- 協和性理論
- 心理評価技術
- 音質の心理評価の方法
- 音質の心理評価の実例
第2部 EVにおける疑似エンジン音のサウンドデザイン
エンジン音を載せない電気自動車のサウンドデザイン手法を講義する。
- はじめに
- 自動車の音
- 音の好みと国土省のガイドライン
- 被験者差異 (サウンドマーケティング)
- コンセプトサウンドデザイン
- 疑似エンジン音と信号処理法
- エンジン音について
- サイン波による合成法 (全ての車の音をフェラーリにするには)
- EVSP Method I 時間波形圧縮ストレッチ法
- EVSP Method II 間欠時間調整法
- EVSP Method III イベント駆動法
- 日本的な音によるインスピレーション
- かわいい音とトータルコンセプトサウンドデザイン
- 欧州の動向と音の権利
- 欧州での動向
- 音の権利
第3部 製品音のデザイン:考え方、方法、事例、課題
『製品音のデザイン』では、従来悪者と捉えていた音 (騒音) を、視点を変えて製品に価値を与えるものとして音を捉えることを特徴とする。一方、従来の低騒音化技術は音の設計の基本技術であることには変わりなく、効率的に低騒音化を実現する技術、低騒音化だけでは不十分な製品に対して指針、付加価値を与える考え方、手法が『製品音のデザイン』である。
- 導入
- 製品音デザインの考え方
- 音のデザインが目指すところ
- 音のデザインの考え方
- 製品音デザインのための基礎知識
- 音の測定と評価
- 音の官能指標 (人の感じ方の指標化)
- 音の物理指標 (音信号としての指標化)
- 統計処理による本質の抽出 (視える化)
- 製品音デザインの方法
- 音のものさしとは
- 音のものさしの作成手順
- 多様性を考慮した音のデザイン
- 目標音の設定
- 目標音の具体化
- 製品音デザインの事例
- 製品音の分類
- 家電製品への適用例
- 事務機器への適用例
- 製品音デザインの課題