第1部:『薬物動態特性改善のための化合物の化学修飾ノウハウと事例』
(2013年11月21日 10:30〜13:00)
創薬薬物動態、物性研究者は、今やADME試験や溶解性などの物性データをタイムリーに供給するだけでは、不十分。ある化合物シリーズに問題があったとき、その先の「どうしたら薬物動態特性、物性が改善できるか?」を具体的な構造式レベルで提案できることがプロジェクトの推進に必須です。創薬合成化学者も、ADME (T) 関連の化合物特性の改善に心血を注ぐ方は多い。本講座では、基礎理論から始め、無料データツールやエクセルなど研究者に馴染みの深いソウトウエアを使った薬物動態特性の化学修飾による改善法までわかりやすく解説します。
- (はじめに) 変化する研究環境
薬物動態・製剤に関する薬事行政、驚きの裁判判決など。
- 薬物動態、物性に問題のある化合物群を化学修飾でどのように開発候補品に結びつけるか。
- 基礎理論
- 定量的な薬物動態解析法
- 汎用されるパラメータの解説とそれらの持つ意義
- 吸収に問題のある化合物の化学修飾による改善法
- 吸収されにくい化学構造はあるのか?
- Caco-2, MDCKなどの予測 (最適構造の提案)
化学修飾の提案の実演
(エクセルなど研究者に汎用されるソフトウエアを用いて)
- 薬物代謝に問題のある化合物の化学修飾による改善法
- CYP阻害作用、誘導作用、代謝されやすい化学構造はあるのか?
- 薬物代謝に問題を回避するための化学修飾とは?
CYP結晶構造を基にした化学修飾のための解析法、実演
- タンパク結合、脳への移行性に問題のある化合物の化学修飾による改善法
- (おわりに) 開発中止率 (Attrition) の改善に向けて
創薬化学、薬理、安全性、薬物動態、製剤、知財部門相互の協力ネットワーク
第2部:『実例をふまえたADME/Toxの問題解決に向けた計算化学的アプローチ』
(2013年11月21日 13:50〜16:30)
創薬において、HTSなどによって比較的活性の高いヒットは容易に得られるようになったが、ヒットtoリード、あるいはリード最適化のステージで最も解決に時間がかかる課題は、体内動態 (ADME) と毒性 (Toxicity) の問題である。本講演では、ADME/Toxのプロファイルを改善するために行われる計算化学的アプローチについて、実例を交えて紹介する。
- ADMEとToxicityの重要性
- 計算化学的アプローチ
- 原因タンパク質の構造に基づく設計
- CYPのX線構造に基づく設計
- 代謝部位の予測
- hERGのモデル構造に基づく設計
- ファーマコフォアモデルに基づく設計
- 統計予測モデルに基づく設計
- 機械学習による予測モデルの構築方法
- 予測モデルと統計手法
- 良いトレーニングデータの条件
- 分子記述子
- 回帰 (定量) モデルの評価指標
- 判別モデルの評価指標
- SVM
- Random Forest
- Active Learning
- 光毒性の予測
- 反応性代謝物の予測
- 予測の提供方法