第1部 多様なカーボンナノチューブと広がる用途展開
カーボンナノチューブを用いた開発研究は盛んであるが、なかなか高機能製品として市場に登場していない。本講演では、長くCNTの技術開発と応用開発に携わってきた講師が、基盤となる分散技術とそれをベースにした開発事例を概説するとともに、実用化が遅れている真の理由と新たに登場した長尺カーボンナノチューブのドライプロセス技術の可能性について言及する。
- カーボンナノチューブの魅力
- CNTとは
- 多様なCNTの世界
- CNTの特性
- CNTの期待される用途
- 弊社の使命と企業戦略
- 技術基盤
- 用途開発戦略とネットワーク網の構築
- MW‐CNTデータベースの作成と活用
- 開発ターゲットの絞り方
- カーボンナノチューブの分散技術
- 液相分散
- 固相分散
- カーボンナノチューブ応用開発事例
- 透明・静電防止塗料
- CNT電極
- 透明導電フィルム (ITO代替)
- CNT導電ペーパー
- CNT導電繊維 (CNTコーティング繊維)
- CNT/熱可塑性樹脂複合材料
- CNT/ゴム複合材料
- CNT/金属複合材料
- その他
- 実用化が遅れている主な理由
- ターゲット設定の困難さ
- ナノ粒子としての制約
- 孤立分散化の困難さ
- 秩序化/組織化の困難さ
- 将来展望
- CNTを取巻く環境変化と産業界の対応
- 進化するCNTの世界
- 長尺CNTのドライ・プロセスによる用途展開
- 分散剤フリーの分散液による用途展開
- イノベーション・プロダクツ創出への私見
第2部 長尺カーボンナノチューブの合成技術とドライプロセスによる応用開拓
カーボンナノチューブ (CNT) は1991年に飯島澄男氏により発見され20年以上経た現在も、非常に多くの課題 (量産技術、半導体/金属分離、分散技術など) があるためCNTを基幹とする産業に結びついていない。今後は、CNTの優れた電気的・機械的特性を活かすことで、「低炭素社会を実現する」革新的な材料になることが強く期待される。
これまでは、様々な媒体 (樹脂、有機溶剤、水など) にCNTを安定にかつ均一に分散する「ウエットプロセス」で応用開発を進めてきた。CNTの分散剤や可溶化の研究開発が国内外で活発に行われており、製品化までにはまだ課題も多い。
本講座では、大面積基板に直径10nm以下の長尺CNTを超高速で成長する技術、この基板から「ドライプロセス」によるCNT繊維 (ヤーン) やシートを作製する技術を紹介する。「ウエットプロセス」からの大きな変革を迫られているなかで、CNTの「ドライプロセス」により応用開発はこれまでに報告が少なく、製品開発の手法において有効な方法になり得る。
- カーボンナノチューブ (CNT) の基礎
- 基礎物性と評価技術
- 様々な合成方法
- 期待されている用途と応用開発事例
- 長尺カーボンナノチューブの合成技術
- 長尺・高密度・高配向CNTの高速成長技術
- 小さな直径で径の揃ったCNTの成長技術
- 基板から直接線材化およびシート化可能なCNTの成長技術
- ドライプロセスによるCNTの用途開拓
- CNT繊維 (ヤーン) の作製と線材化
- CNTシートの作製と応用
- ドライプロセスで広がるCNTの用途
- ドライプロセスによるCNTの構造材料への期待
- カーボンナノチューブの毒性や安全性 (情報提供)
- カーボンナノチューブの将来展望