地球上では容易に排除することができない水の高分子に及ぼす影響は、科学的、工学的に非常に重要なものであるが、これまでは、高分子自身の機械的?物理的特性や化学的特性への影響をもとに評価されてきた。視点を変えて、高分子の特性が近傍の水の構造や物性に反映されており、「水を観る」ことにより材料開発に有益な情報が得られるのではないかとのコンセプトに立ち、さまざまな高分子の特性解析を、水分子を”プローブ”として行った。
本講では、水分子の位置や配向に対して鋭敏なRaman分光法や赤外分光法等の振動分光法を、生体適合性高分子材料近傍の水の構造解析に用いた例を紹介し、水の構造制御が材料開発に重要な役割を担う可能性について述べる。
- 高分子水溶液中の水の構造
- 水の特性
- Raman分光法
- 水のRamanスペクトル
- アミノ酸水溶液
- 水の水素結合ネットワーク構造に及ぼす水溶性高分子の影響
- 高分子電解質
- 双性イオン型高分子
- 両性高分子
- ノニオン性高分子
- 疑似網目構造が水に及ぼす影響
- 高分子薄膜内における水の構造
- 赤外分光法
- 収着水のスペクトルの測定法
- 高分子マトリックス内に取り込まれた水の構造
- 水素結合部位と収着水のスペクトル
- O-H伸縮振動の理論計算
- PMEA膜
- 双性イオン型高分子薄膜
- 両性高分子薄膜
- 高分子-水界面の水の構造
- 和周波発生法
- 材料-水界面の水の構造
- 双性イオン型高分子薄膜
- 電荷中和された高分子ブラシ
- 電荷中和された自己組織化単分子膜
- 材料近傍の水の構造と生体適合性との相関
- タンパク質吸着
- 細胞接着
- 血小板接着
- 創傷治癒用被覆材料
- 高分子中に収着した水の凍結・融解挙動
- 示差熱分析法
- 温度可変赤外分光法
- 生体適合性と「低温再結晶化」