「取説を理解するマニュアルがほしい!」このような声がユーザーから聞こえてくる。企業のコールセンターへの問合せを減したいし、製品の取り扱いを誤ったために起こる事故や訴訟のリスクも低減したい。
各国で導入されているPL 法 (製造物責任法) では、製品の欠陥によって損害が生じた場合の損害賠償責任について定めています。製品の欠陥には取扱説明書の表示不備が含まれ、そのためか、製品の取扱説明書 (取説) は、とりわけ企業のディフェンスツールとして位置づけられる傾向があります。
しかし、国際安全規格では、製品のリスク低減方策は、第一に安全な製品を設計することとされており、取扱説明書などへの表示によるリスク低減方策は、最後の手段となっています。つまり、「リスクがあれば取扱説明書に記載する」という対応は許されておりません。
また、取扱説明書の記載内容に関する国際規格も制定されており、海外との取引をする場合はこの要求事項の遵守が必要となります。
【第一章】 取説はなぜ分かりにくくなるのか
- 取説の役割ってナンだろう
- 製品安全対策の考え方
- 日本における「伝える技術」
- ユーザー中心設計を目指して
→ 日本人は文化的・教育的背景から分かりやすく伝える技術を習得する機会が少なかった。
【第二章】取説を作る前にしておくこと
- 情報をしっかりと収集する
- 取説のコンセプトや制作方針を企画する
- 取説の記載内容を決定する
→段取り八分! 設計図なくば良い製品 (取説) は作れない
【第三章】読み手はどうやって理解しているのか
- コミュニケーションの原理原則を知ろう
- メンタルモデルとは
- メンタルモデルに配慮した情報の出し方
→人はいとも簡単に誤解する。認知メカニズムに配慮した情報伝達のコツを学ぶ
【第四章】伝える技術
- テクニカルライティングとは
- わかる、伝わる、文章の書き方
- 理解を助ける、ビジュアル表現
→わかりやすく伝える学問。これで伝わる!テクニカルライティングの技術を学ぶ
【第五章】注意・警告文でリスクを回避!
- 製品安全と注意警告文の関係
- 危険を伝える、注意・警告文の書き方
→国際安全規格が求める注意警告のあり方。ユーザーの安全を守るために遵守すべきこと。