本セミナーでは、水素利用、製造、貯蔵、輸送について最先端の研究・プロジェクトに関わっている方々の生の声に加え、投資的な視点から、4大都市圏と地方での水素社会実現性について講演いただきます。
本セミナーでは、水素利用、製造、貯蔵、輸送について最先端の研究・プロジェクトに関わっている方々の生の声に加え、投資的な視点から、4大都市圏と地方での水素社会実現性について講演いただきます。大市場「水素社会」における事業機会、製品開発のヒントをお持ち帰りいただければ幸いです。
西村 眞 氏
(2013年11月14日 10:30〜11:25)
原発事故後の日本のエネルギー・セキュリティーを如何に再構築するかが焦眉の急である。 シェールガス革命で小康を得ている間に、エネルギー自給率が4%しかない日本は、地域におけるエネルギーの地産地消を基盤に自給率を上げていく一方、水素社会実現に向けた活動を行うことがセキュリティー構築に繋がる筋道を解説する。
庄司 真史 氏
(2013年11月14日 11:30〜12:25)
燃料電池自動車 (FCV) は、燃料電池を動力源とし水のみを排出する、究極のエコカーと呼ばれています。トヨタ、ホンダ等日本の大手自動車会社各社は2015年のFCV市場投入を目指しており、同時に4大都市圏を中心に、水素ステーションも整備予定です。 一方、現在、水素は、主に臨海工業地帯での石油精製や製鉄等の工場からの副産物として生成されており、今後燃料電池車の普及が全国に広がれば、臨海部からの輸送コストをボトルネックとしない「地産池消水素」の生成が必須となります。 まず、エネルギー分類の中での、水素の位置付けを確認します。一般的に「水素=クリーンエネルギー=再生可能エネルギー」のような誤った理解が浸透しているように見受けられますが、ここでは水素はエネルギー通貨なので、1次エネルギーではありません。2次エネルギー、つまり、エネルギーの媒体であり、水素と電力の相互変換が可能であることを確認します。その上で、水素が次世代エネルギー通貨の本命になり得る理由を考察します。 水素が次世代の2次エネルギーの本命になる可能性がある一方、別の大規模化学反応の副産物とはいえ、水素を化石燃料から生成している限り、LCAベースで見た際には、真のクリーン・エネルギーとは呼べません。従って、今後「クリーン水素」への需要が高まっていきますが、エネルギー変換・貯蔵効率を考えると、太陽光や風力等、どのような原料から水素を生成するのが効率的かを考える必要があります。一つの提案として、日本で増加し続けている、未利用木材を活用した、熱分解からの水蒸気改質反応による「バイオマス水素」生成を例に挙げ、経済合理性を有する事業として成立するものとして説明します。 登壇者は水素生成技術のプロでも燃料電池車技術のプロでもありません。しかし、米系大手投資銀行出身者として深いファイナンス経験を持ち、また、技術投資分野で、多くの技術ベンチャー企業の支援に従事していることから、経済的に成立しえるプロジェクトとしての「バイオマス水素」事業を考察し、議論を進めます。
亀田 常治 氏
(2013年11月14日 13:25〜14:20)
環境負荷低減やエネルギーセキュリティの観点から、再生可能エネルギーの導入が世界的に進んでいる。 太陽光・風力など変動の大きい発電を電力系統に大量導入するためには、余剰電力の貯蔵など、大容量・長時間の電力貯蔵技術が必要となる。水の電気分解による水素の製造・貯蔵で“蓄電“し、水素を用いた発電で“放電“する「水素電力貯蔵システム」は、こうした運用に適している。 高い充放電効率が望める固体酸化物形セルを電解/発電に用いたシステムについて、要素技術の開発状況や経済性評価を述べる。また、英国での実証実験についても概要を紹介する。
三宅 明子 氏
(2013年11月14日 14:25〜15:20)
水電解方式による水素製造は、高圧ガスボンベ代替のオンサイト水素供給装置として、半導体分野など高純度水素ガスの用途にとどまらず、燃料電池自動車向け水素供給ステーションや、再生可能エネルギーの電力を水素に変換貯蔵する手段としても期待されている。 本講演では、水素社会の実現に向けた水電解メーカとしての取組みを紹介し、水素製造コスト低減のための課題や将来的な経済性評価の見通し、今後の展望について概論する。
岡田 佳巳 氏
(2013年11月14日 15:25〜16:20)
千代田化工建設では水素の大量貯蔵輸送技術の確立を完了し、水素キャリアとして用いる有機ハイドライドは「SPERA水素」と命名され、実用化段階に移行している。本講座では、SPERA水素技術の概要と本技術を通じての水素社会実現の可能性について述べる。