2012年末の政権交代を機に円安トレンド、TPP交渉参加により、海外取引が益々活発化しています。国内外の競争激化を生き抜く産業界にとって、国際取引ツールとして英文契約の重要性は更に大きくなっています。英文契約書に対する理解、知識、読み方・書き方のスキル取得は、多少とも海外取引に携わっておられる担当者、管理者、経営者の方々にとっては、無関係では済まされない時代です。
今回の英文契約セミナーは、日常的に多忙を極めるこうしたお立場の方々、また、新たに英文契約書に携わる方々を対象に、ごく短時間に英文契約の全体像、読み方・書き方の基礎を学び、同時にそれらの実務を速習して頂くために準備されました。講義の第1回は英文契約の「全体像とものの考え方」、第2回は英文契約の「読み方」実務、第3回は「書き方」実務です。各回の講義内では、受講者の皆様に参加して頂く「演習」 (*) の時間を取り入れ、一方通行で講義を聴くだけという現状から一歩進めたセミナー形式を採用しています。
講師には、SSKセミナーでもレギュラー出演の国際取引と英文契約実務経験二十数年のベテランを招き、実体験を踏まえて、分かりやすく解説してもらいます。
- 前シリ-ズとは異なる新しい簡単な課題を解いて頂きます。
第1回 基礎から分かる英文契約書実務 (入門編) ※質疑応答/名刺交換あり
(2013年11月27日 13時~17時)
【第1部 一般知識総ざらい】
- 英文契約書の構造
様式化された4つの部分に分解して理解。法律背景についても解説。
- 冒頭部分 (契約の効力発生日、前文、約因文言)
- 実質条項部分 (契約当事者の権利・義務に関する条文)
- 一般条項部分 (契約の運営・解釈・紛争処理に関する条文)
- 末尾文言部分 (隔地者間の調印、効力発生時期)
- 英文国際契約のものの考え方とは
- 人間性善説に立った考え方 (日本) と人間性悪説に立った考え方(欧米系) の違い
- 主な一般条項 (General Provisions) を理解して使う
どのような英文国際契約にも使われる約20種類の一般条項の解説
- 英文契約の一般条項にはどのような役割があるのか
- 汎用性の大きい一般条項 (約20種類) を覚えてしまおう
実務知識の演習 : 英文契約のある一般条項の解釈と翻訳
【第2部 国際契約交渉の進め方 (基礎編) 】
- <Ⅰ>交渉に入る前に
- 英文国際契約と日本語の国内契約の違い
- 何故英文契約はやたらに長いのか
- 契約書での相手方の縛り方 (契約の相手方に対する信頼感の問題)
- <Ⅱ>契約交渉の手続き例
- レター交換による交渉の留意点
- 初期の実質的交渉
- 秘密保持契約の締結・調印
- 合意形成と議事録minuteの作成
- 「レター・オブ・インテント」 の締結
- 「レター・オブ・インテント」の機能と法的効力、実例
- 最終的な契約交渉
- 最終契約案をどちら側が作成するか
- 交渉決裂の場合も考えながら交渉する
- 契約に落ちがないかの検証と準拠法・使用言語・紛争解決手段等の規定の挿入
- 締結 (調印の仕方、綴じ方)
- 契約締結後の手続
- 契約書の引渡し
- 調印権限の問題
第2回 分かりやすい英文契約書の「読み方」 (速習編) ※質疑応答/名刺交換あり
(2013年12月18日 13時~17時)
- はじめに
- 英文契約書を読むのに法学部出身者でなければならないのか
- 英語はどの程度できればよいのか
- 揃えるべき道具は
- 論理的な思考術とディベート術 他
- 法律英語の特徴 (助動詞、専門用語、長い複雑な条文構造)
- 法律英語の文法-特に助動詞shallの使い方
- 専門用語 (ラテン語、法律用語と一般用語の大きな違い)
- 長い複雑な構文 (修飾語、句、節の掛かり方のルール)
- 英文契約の基礎用語例と活用事例
- 英文契約業務のO.J.T.実施法
- 使用頻度の高い契約専門用語・慣用句
- 間違いやすい法律用語
- 英文契約上のものの考え方
- はじめに
- 英米契約法上の重要な法原則 (Parol Evidence Rule, Estoppel,等)
- 英文契約の基本的骨組み
- 英文契約の特質 (日本の契約との相違点)
- 英文契約法における契約成立の要件
- AgreementとContractの違い
- 英文契約の枠組み
課題演習 : 英文契約に関する一般的知識
- 英文国際契約の種類とその読み方
- レター・オブ・インテント (Letter of Intent) (L.O.I.)
- 秘密保持契約 (Non-Disclosure Agreement)
- 国際売買契約 (Sale of Goods Agreement)
- 販売店契約 (Distributorship Agreement)
- 技術ライセンス契約 (Technology License Agreement)
- 合弁事業契約 (Joint Venture Agreement)
第3回 分かりやすい英文契約書の「書き方」 (速習編) ※質疑応答/名刺交換あり
(2014年1月15日 13時~17時)
【第1部】英文国際契約の書き方ルール (雛形のコピー、のりとハサミで切り張り)
- 「ゼロベースから和文英訳する」方式
- 「類似の英文契約書の条文を編集する」方式
- インターネットのfindlawサイトの活用法
【第2部】英文契約書の書き方で勉強すべき要素とは何か
- 法律英語の特徴
- 法律英語の書き方実務
- 関係副詞の使い方
- Doublets「二重語」の使い方
- 数字の表記
- 修飾語・修飾節や句のかかり方
●課題演習 : 英文契約の「書き方」に関する一般知識●
【第3部】契約本文の書き方実技・小技を交えた英文契約攻略法
- 基本的なアプローチ
- 日本語の特徴を踏まえた個別的な攻略法 <その1>
- 日本文は論理曖昧な文章が多いから、契約原案の下書きのため論理的な内容を箇条書きする
- 英語の特徴を踏まえた個別的な攻略法 <その2>
- 契約文書における「条件」と「但し書き」
- If clauseにおける時制の問題
- 定冠詞「the」の使い方