がんは日本人の死因のトップの座にありつづけ、今や国民の2人に1人が「がん」に罹るといわれている。政府は、2007年にがん対策基本法を施行し、がん治療法の研究やがんの予防・早期発見の推進、がん医療体制の強化などに着手している。がん研究について、14年度からの第4次10か年戦略の立案の最中である。今後予定されている第6次医療法改正に向けては、がん拠点病院との連携を念頭においた「地域がん診療病院 (仮称) 」を新たに指定することが論議されている。
かつては国や都道府県レベルの専門医療の範疇にあった「がん」の治療は、地域医療の範疇での対応が求められる時代へ向かおうとしている。また、民間医療機関の独自努力により、地域でもがんの先進治療が受けうる体制が築かれつつある。その最新動向を紹介する。
- 新たながん診療提供体制とがん研究を中心に
(2013年10月23日 13:00〜14:15) 2013年6月第2期がん対策推進基本計画が策定され、がん対策の様々な分野において新たな取り組みが開始された。がん医療の分野では、地域のがん診療の中核として全国に397ヵ所指定されているがん診療連携拠点病院に求められる機能等の見直しが行われ、今後、目指される新たながん診療提供体制が提示されている。
また、がん研究の分野では、2013年度で終了する「第3次対がん10か年総合戦略」に代わる新たながん研究戦略を見据えた「今後のがん研究のあり方について」が取りまとめられている。この2分野を中心にがん対策の最近の動きについて、解説する。
(2013年10月23日 14:20〜15:35)
乳がんは、急速に増え続け、日本人女性の15人に1人が乳がんになる時代を迎えている。国立がんセンターの論文では、T1乳がんでも、T1a,T1bの乳がん、つまり、1cm以下で見つけることで、有意に治療成績が向上することが証明されている。
また、1cm以下の乳がんを見つけることにより、RF焼灼治療や血管内治療、クライオサージェリー、HIFU (超音波収束治療) などの応用が可能となっている。また、乳がんの術後フォローアップは、10年生存率で評価するために、術後の定期検査の効率化も重要な課題となってくる。乳がんの治療過程における画像診断の役割は、非常に広範囲に及び、術後のフォローアップでは不可欠の診断法となっている。地域の画像診断センターの役割として、解説する。
- 現状と将来展望
(2013年10月23日 15:45〜17:00)
がん医療の進歩がめざましい。最近では、特にがんの放射線医療の発達がめざましい。各地で放射線治療施設が開院され、全国的に見るとさながら静かなブームの様相を呈している。地域でのがんの放射線医療が受けられる時代の到来と称しても過言ではなかろう。
一方では、医療保険財政はきびしい状況に置かれている。がんの先進医療の費用については、必ずしもすべてが健康保険による償還の対象ではない。したがって、がんの先進医療における民間医療保険ビジネスも立ち上がっている。がんの先進医療における費用負担の課題と将来展望について概説する。