円管内を流れる液体の流動抵抗を支配するのは粘度ですが、流動の形式はせん断流動となっていますので、粘度も厳密にいえばせん断粘度ということになります。しかし、工業的には液体が引っ張られて流動するプロセスがあります。
たとえば、印刷では、版と紙の間でインキが引っ張られて分裂します。また、紡糸では高分子が引っ張られて細くなり繊維になります。このように伸長が支配的となる流動では、せん断下で求めた粘度を用いて検討することはできません。伸長流動を解析するには伸長粘度が必要となりますが、その測定が非常に難しいため、データはそれほど多くありません。
伸長流動の解析のためには、様々な制限がありますが、本セミナーでは技術として応用するための基本的な考え方について解説します。
- 変形と流動の基礎
- せん断変形と伸長変形
- 変形の大きさ (ひずみ)
- せん断流動と伸長流動
- 流動場の大きさ (せん断速度と伸長速度)
- 応力 (せん断応力と法線応力)
- 非ニュートン流動 (擬塑性流動、ダイラタント流動)
- せん断粘度と伸長粘度
- 粘弾性の基礎
- 粘弾性の現象論
- 弾性と粘性の物理的意味
- マックスウェルモデルと応力緩和
- フォークトモデルと遅延弾性
- 4要素モデル
- 動的粘弾性
- 定常流動と非定常流動
- 非定常流動場における弾性効果
- 法線応力効果
- 低粘度液体における伸長粘度の測定法 (non-controllable測定)
- Opposing jet
- Tubeless siphon
- Squeezing flow
- 代表的な物質の伸長レオロジーに関する基礎
- 高分子の伸長流動と紡糸
- 高分子の伸長流動に及ぼす分子量の効果
- 分散系における伸長粘度とせん断粘度
- 伸長流動の実用測定と技術的応用
- Capillary breakup法
- 測定原理
- せん断粘度と伸長粘度
- スクリーンインクの印刷適性評価
- 工業的実用試験 (タック測定)
- 測定原理
- 印刷への応用