本セミナーでは、ミャンマーにおける政治経済の民主化と市場化の最新動向を分析するとともに、豊富な天然資源開発、火力発電等のインフラ・ビジネスの事業機会について解説いたします。
2013年に入って、ミャンマーにおけるインフラ・プロジェクトの展開が、日本の成長戦略の重要なカギを握り始めている。欧米先進国からの経済制裁の原因となっていた、国民からの支持が根強い民主運動家アウン・サン・スー・チー氏の自宅軟禁が2010年11月13日に解除され、続く2012年4月1日の補欠選挙でスー・チー氏が率いる国民民主連盟 (NLD) が大勝利を収め、米国を中心とした欧米先進国は、ミャンマーに対する経済制裁解除を進めている。 2003年に米国はミャンマーに対して経済制裁法を制定し、海外からの投資に依存していたミャンマー経済は大きな打撃を受け、経済停滞を招いた。しかし、2011年3月に就任したテイン・セイン大統領による民主化推進、国民和解促進への動きを受けて、米国は民主化支援のために、金融サービス、投資の緩和に向けたプロセスを進めた。日本も、25年ぶりに円借款を再開し、ミャンマーの持続的な経済成長のためのインフラストラクチャー整備への支援に乗り出すこととしている。EU (欧州連合) も経済制裁停止を2013年4月22日に発表し、東南アジア最後のフロンティアとして、欧米先進国は熱い視線を向けている。 ミャンマーは、中国とインドの中間点としての地政学上の要衝の地であるとともに、米、木材、天然ガス、レアメタルをはじめとした天然資源も豊富である。さらに6,200万人を超える人口を持ち、中国の10分の1という低賃金の豊富な労働力を抱える。テイン・セイン大統領も市場経済化の進展による国家発展を目指すとしており、安価な労働力を利用した繊維産業、組み立て産業の進出も始まっている。2013年4月にはスー・チー氏が27年ぶりに来日し、ティラワ湾経済特区の2015年の開始に向けて、中国、韓国との主導権争いに勝利し、日本の三菱商事、住友商事、丸紅等も開発を進めている。 今後は、さらなる経済発展に向けて、鉄道、発電所をはじめとしたインフラストラクチャー整備が進む可能性が強く、日本による経済支援に大きな期待を寄せている。しかし、これまではミャンマーへの進出では、日本は中国、韓国、インド、タイに大きく遅れをとっている。もともとミャンマーは親日的な国であるものの、米国が人権問題から経済制裁を続け、日本企業が米国に配慮して進出を躊躇したという背景がある。スー・チー氏の政治活動復帰と民主化の進展は、日本企業にとって大きなビジネス・チャンスに発展する。ミャンマーにおける政治経済の民主化と市場化の最新動向を分析するとともに、豊富な天然資源開発、火力発電等のインフラ・ビジネスの事業機会について的確に詳説する。