第1部 微生物燃料電池のメカニズムと研究動向
(2013年8月26日 11:00〜12:30)
東京薬科大学 生命科学部 応用生命科学科 生命エネルギー工学研究室 教授 渡邉 一哉 氏
微生物燃料電池は最近注目されるバイオプロセスであり、バイオマス廃棄物発電および廃水処理の分野で実用化が期待されている。
本講演では、微生物がなぜ発電するかについての生物学的メカニズムをまず解説し、それを基に最新の研究動向を紹介する。
- 微生物発電のメカニズム
- 微生物燃料電池の基本構造
- 電池のメカニズム
- 生物のエネルギー獲得メカニズム
- 細胞外電子伝達系
- 微生物燃料電池の構造と研究開発の現状
- 装置の形状
- アノード
- カソード
- セパレーターなど
- バイオマス発電用微生物燃料電池の開発
- 廃水処理用微生物燃料電池の開発
- 今後の展望等
第2部 酵素電池の開発と用途展望
(2013年8月26日 13:20〜14:50)
筑波大学 数理物質系 准教授 辻村 清也 氏
酵素を電極触媒に用い糖やアルコールから発電する酵素電池 (バイオ燃料電池) について,基本原理から開発動向、電池の開発に必要な酵素、電気化学、電極に関する知識や技術を紹介する。
- 酵素バイオ燃料電池のしくみ
- バイオ電池の原理と開発の歴史
- 出力を決定する因子
- 想定される応用例 (埋め込み型医療デバイス電源,小型電子機器用電源など)
- 酵素電極触媒反応の基礎
- 酵素の電極触媒としての特性:直接電子移動とメディエータ型電子移動
- 酸化還元酵素 (アノード)
- 酸化還元酵素 (カソード) マルチ銅オキシダーゼの特性
- 酵素電極反応の電気化学
- 酵素-電極間直接電子移動反応
- 電流電圧曲線の理論式と反応に影響を及ぼす因子
- 反応性 (電流値) の向上に向けた研究
- メディエータ型電子移動反応
- 酵素電極反応の電流電圧曲線の理論式
- 修飾方法と電流向上にむけた改良
- 多孔質炭素電極における酵素―電極間電子移動
- 多孔質炭素での酵素電極反応
- 細孔サイズが制御された多孔質炭素
- 直接電子移動とメディエータ型電子移
第3部 バイオ光化学電池による環境浄化と新規半導体素子による (光不要型) バイオマス燃料電池への展開
(2013年8月26日 15:00〜16:30)
(株) バイオフォトケモニクス研究所 取締役所長 金子 正夫 氏
演者が発明した、バイオ光化学電池 (米国特許取得済み、ドイツ、日本特許は審査中) による、量子効率300%を超すバイオマス・有機物系廃棄物の光分解浄化について先ず講演する。
次に、これまで例の無い特殊機能を持つ、新規ナノ構造半導体素子のショットキー/オーミック接合の2重性発見と、これをバイオマス直接燃料電池 (BioMassFuelCell=BMFC) の高活性アノード触媒として利用するBMFCの現状 (国際特許出願中) 、及びこれを化石資源に置換できる規模の中核的持続可能エネルギー資源システムとする、近未来展望について講演する。
- 緒言:持続可能エネルギー資源の現状と問題点
- バイオ光化学電池によるバイオマス・有機物系廃棄物の高量子効率光分解+発電
- バイオ光化学電池の構造と機能
- 従来の光触媒との相違
- 工場廃液に関わる具体例
- 畜産排泄物の光分解浄化例
- まとめと将来展望
- 高効率バイオマス直接燃料電池 (BMFC)
- ナノ構造半導体膜/レドックス系水溶液接合のショットキー/オーミック2重性
- ナノ構造半導体膜/金属薄膜接合の新規ショットキー/オーミック2重性とその意義
- BMFCアノード/触媒としての利用
- バイオマスモデル化合物の分解浄化と燃料電池特性
- 最近明らかにした結果の紹介
- 化石資源に置換可能規模の中核的持続可能エネルギー資源システムとしての利用と近未来展望